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バタイユ「眼球譚」→「目玉の話」 [ブック]


光文社古典新訳文庫からジョルジュ・バタイユの「マダム・エドワルダ/目玉の話」(中条省平訳)が出てるってことで早速購入、旧訳の生田耕作訳と比較してみようっていう企画でしたが…


(左)マダム・エドワルダ 角川文庫
(右)マダム・エドワルダ/目玉の話 光文社古典新訳文庫

考えてみたら、きっとどっかの誰かが(したり顔で)やってるに違いないし、それに第一、新訳者自らあとがきで改訳の意図(=弁明)をばらしちゃってるんで全然意味ないじゃ~んってことでボツとなってしまいました

生田訳「漢語を多用する哲学的な語彙と文語調の勢いのよさ」に対して、新訳は「散文性、論理性、よく考えれば分かる論理の愚直なまでの道すじ」だそうです
また、生田訳が「日常的散文の部分と哲学的表現の乖離の度合いが高い」のに対して、新訳は「できるだけ日常の言語と哲学的な表現を無理なく溶けあわせること」を主眼としたそうです

てなわけで、「眼球譚」というタイトルは、「目玉の話」となり…

思わず「おい、キタロ~」と叫び出したくなっている私が今ここにおります
(ピンボケ写真は、妖怪汁、ねずみ男汁、猫娘汁です。もちろん、おやじ汁もありましたが、まさか茶わん風呂の残り湯飲みたくないのでパスしました。ちなみに、妖怪汁飲むと体がどろどろに溶解、妖怪裁判で死刑を宣告され汁化した鬼太郎気分が味わえます)

まあ、訳者の狙いがうまくいったかどうかは…
ぜひご自分で読んで判断してみてくださいね
…などとやさしく言って、読者を解放してあげるほどうちのblogは甘くないので、老婆心ながらも、前にも引用したことがある闘牛士グラネロ登場の場面を掲載、暗黒エロス攻撃をお見舞いしておきますね

まずは、生田耕作訳「眼球譚」
 最初の牡牛、その睾丸が生のまま皿に盛って差し出されるのをシモーヌが期待している牡牛は、まさしく真黒な怪物だった。檻の口から躍り出してきたそのすさまじい勢いに圧倒され、奮闘と悲鳴の甲斐もなく、進路を制御しきれぬうちに、次々と三頭の馬が腸を剔り出された。一度などは、乗り手ごと馬は空中に持ち上げられ、すさまじい響きとともに角の後方へほうり投げられてしまった。しかしグラネロが代って牡牛と向かい合うと、試合は活気を帯び、熱狂的な喝采のうちに進行した。猛り狂った獣を若者は真紅のケープへ引き寄せ、自分のからだすれすれのところをくるくる回転させるのだった。その度ごとに彼の体はいうなれば螺旋形の噴水のように持ち上げられ、間一髪の差でその恐ろしい衝突をかわすのだった。最後に、赤い布切れで獣は盲目にされ、すでに血まみれの体に剣を深く突きさされ、太陽怪獣の死は手際よく完うされた。万雷の拍手が鳴り止まないうちに、牡牛は酔っ払いのようにふらつきながらひざまずくと、脚を空ざまに投げ出してぶっ倒れ、息絶えてしまった。
 …またたく間の出来事として、私は見たのだ、まずはじめに、ぞっとしたことに、シモーヌがなまの睾丸の一つに齧りつくのを、次いでグラネロが牡牛の方へ向かって前進し、真赤な布を目の前に突き出すのを――最後に、ほとんど同時に、逆上したシモーヌが、思わず息を呑むような淫らさを発揮して、白いすんなりした腿を湿った陰門までさらけ出し、その中へいま一つの蒼白い球体をじっくり手ごたえを味わいながら押し込むのを――牡牛に突き倒され、障壁へ追いつめられたグラネロの姿。その障壁を角が三度盲滅法に突きまくり、三度目の攻撃が右の眼と頭全体をぶち抜いた。恐怖に打たれた闘技場のどよめきはシモーヌのオルガスムスの瞬間と重なり、石の座席から腰を浮かすと、そのまま彼女は仰向けにぶっ倒れてしまった、鼻血を垂らし、目くるめく日光に体をさらけ出したまま。直ちに人々が駆け込み、グラネロの死体を担ぎ出した。死体の右の眼は頭蓋からダラリと垂れ下がっていた。

次に、中条省平訳「目玉の話」
 シモーヌが金玉を要求した最初の牡牛は真黒な怪物でした。控えの場からも途方もない勢いで暴れこんできて、みんなが必死に大声を張りあげて制止しようとしたのですが、進路を定めることもできぬうちに、牛は続けざまに三頭の馬の横腹を角でかっさばいていました。一度など、太陽に捧げんとばかりに、馬を騎手ごと高く持ちあげ、馬と騎手は角の後方にすさまじい音を立てて落下しました。
 まさにそのとき、グラネロが前へ進みでたのです。ケープで牛を包み、憤激する牛をからかいました。拍手喝采の嵐のなか、若い闘牛士はケープのなかで怪物を一回転させます。牛が突進の体勢で向かってくるたび、グラネロは指一本の差で恐ろしい突きをかわすのです。この太陽の怪物の死はあっさりと決着がつけられました。一度始まった拍手は鳴りやまず、生贄の獣は、酔っぱらいのようにふらふらと膝をつき、それから倒れて脚を空中に蹴りあげながら、息を引きとりました。
 …一瞬のうちに、シモーヌが恐るべきことに睾丸のひとつにかぶりつき、グラネロが前に進みでて牡牛に赤い布を見せ、ついでシモーヌが顔に血をのぼらせて、ひどく淫らな表情を浮かべ、陰唇をむき出しにして、もうひとつの金玉を押しこむのが目に入ったのです。グラネロはひっくり返って、手摺まで押しやられ、その手摺を牛の角が激しく三度突きました。片方の角が右目と頭を貫きます。呆然としたどよめきが闘牛場を覆った瞬間、シモーヌが痙攣に襲われました、石の床から立ちあがり、よろめきながら転倒しました。太陽の光で目がくらみ、鼻血を流しています。何人かの男が駆けより、グラネロを抱きかかえました。
 闘牛場の観衆は総立ちで、死体から右の目玉が垂れていました。

もしかして何人かの方は、思わず顔をしかめ「ヘンタ~イ止まれ! 1、2」と号令かけてしまったかもしれません
そんなふうに白々しくノーマルを装っている人に対して、私がイシイのミート反駁を加え、さらに深遠なるエロティシズムについての考察を滔々と述べてやるつもりでいたのですが…
私の頭蓋前方斜め45度上空に目玉おやじのイメージがこびりついたままどうにも離れないので、それはまたの機会に順延とさせていただきます

で、紙ジャケです
(これまでのように)ちまちまと伏線張って展開していくのがついにメンドーになってしまったので、単刀直入にいきます(笑)
ポリスの紙ジャケ

アウトランドス・ダムール (紙ジャケット仕様)
白いレガッタ (紙ジャケット仕様)
ゼニヤッタ・モンダッタ (紙ジャケット仕様)
ゴースト・イン・ザ・マシーン (紙ジャケット仕様)
シンクロニシティー (紙ジャケット仕様)

えっ、ポリスについての感想ですか?
う~ん…
スティングは、やっぱり我ら男性の希望の星です
しぶとく残ってるもんな~、もっとあっさり消えてなくなるかと思ってたのに…髪の毛
スチュアートは、相変わらずの商売上手、映画で小金稼ぎやってんな~
アンディは…別に何も言うことないや

今日の1曲
King Of Pain 「キング・オブ・ペイン」/Police
http://jp.youtube.com/watch?v=vqBO_65Ih4g&feature=related

P.S.
ポリスは、次回の伏線、というか前座です


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コメント 4

sknys

モバサムさん、こんばんは。
洋楽の皮を被った仏文ブログ?
復帰後の「黒チュー」は、音楽と文学が乖離しているような気がします。
内角高めの剛速球じゃないですか!‥‥「黒い魔球」を投げて下さい。

生田耕作訳『眼球譚』の方が断然好きです。
中条省平訳『目玉の話』は、宇能鴻一郎のポルノ小説(です・ます調)を
連想しちゃいました^^

時流に迎合してワザと下手に演奏したというデビュー作!
‥‥The Policeも初期はパンクの衣裳を纏っていたわけです。
Hugh Padghamの完成した「ポリス・サウンド」が有名ですが、
〈Message in a Bottle〉と〈Walking on the Moon〉を
A・B面の1曲目に配した《Reggatta de Blanc》がベストでしょう。
by sknys (2007-05-14 00:02) 

モバサム41

sknysさん、コメントどうも。
頭の中将さんは少しMっ気があるんじゃないでしょうか、ボコボコに叩かれることを覚悟していたはずです。…いくらなんでも○玉は、ないよな~
ポリスは、今聞くと意外と「にせものパンク」時代がいい!もちろん、レガッタも
by モバサム41 (2007-05-14 09:04) 

yubeshi

確かにゴールデンボール(仏→日→英)は・・・(苦笑)
生田耕作訳は私も持っていますが、これだけでいいや。
スティング・・・・ご存知ですよね・・・顔が嫌いだってこと。
でも、希望の星っていう点には禿しく同意です(爆)
by yubeshi (2007-05-18 01:04) 

モバサム41

yubeshiさん、コメントどうも。
セミナー前々日だというのに、風邪ひいて絶不調です。
皆さんの所にも「道場破り」に伺いたいんですが、自粛しておきます。
それにしても、Ads by Googleで「仮性方形」のCMが出るのは…なんとかしてもらいたいもんです。
by モバサム41 (2007-05-19 00:43) 

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