黄色い本 [アニメ・コミック]
マルセイユのうえを夕立前の暑さがおおっていた。
足が痛んでいた。
くちびるはたばこの熱でかわいて燃えるように熱かった。
堂守が戸をしめに来た。
ジャックは祈祷ひとつせず、ひざまずきもせず、まるで盗人といったように逃げ出した。
メーゾン・ラフィットに(あるいは、マルセイユに、スイスに…)足繁く通った数ヶ月間が蘇りました
何をしているの
小説を読んでいるの
クリップがとめてあるのはなぜ
ページが開かんねえようによ
目次を読むと話の先がわかってしもうのよ この本は
これは電気スタンド あなたがたのほうには まだないわね
これは鉛筆立て お友だちに買いました
ところでジャック
わたし あなたとは前々から友達になれると信じてたわ
だってあなたとわたしってとっても考え方が似ているんですもの
そう思わない
思うさ
黄色い本 ジャック・チボーという名の友人
芋
はやす
菜ッパ
刻む
水したむ
もっと
知って得する 知らねば人に笑わいる
煮〆の煮方だ 覚えときなせえ
ん
「ジェンニー きみは明日メーゾン・ラフィットへ来るかしら」
そうね きっとね
「ジャック メーゾン・ラフィットへテニスに行かないこと?」
OK!
こいつが終わったらね
終わったー
カーチャンもういい?
お行き! 行くがいい!
闘争!
それはまず哲学方面に向けられなければならない!
自分の行動と思想
それはつねに共でなくてはならないんだ!
ジャック墜ちる…
今日の1曲
To The Sea /Yello feat. Stina Nordenstam
Yelloはスイスのユニットです、だからこそ選びました
墜ちる、墜ちていく…
http://www.youtube.com/watch?v=bLZev1uZtgg
Pocket Universe
髪かしら? 耳かしら? …彼は、勇気をふるいおこすため―同時に、自分のすることを弁明しようと―歯をくいしばって、
「畜生!」と、叫んだ。
叫びと同時に銃声がひびいた。
ジャック
家出をしたあなたがマルセイユの街を泣きそうになりながら歩いていたとき
わたしが そのすぐ後を歩いていたのを知っていましたか?
メーゾン・ラフィットの小径では
菩提樹の陰から祈るような思いでおふたりのやりとりを聞いていました
スイスで再会したときは
わたしは何と声をかけて良いのやらわからなかった
だってあなたは百ページ近くも行方知れずで
やっと姿を現したと思ったら わたしより三歳も年上になっていたんですもの
いつもいっしょでした
たいがいは夜 月明かりで
読んでないときでさえ…
だけどまもなく
お別れしなくてはなりません
パリでぼくを尋ねるならばユニベルシテ町に兄がいる
留守の場合はメーゾン・ラフィットへことづけてくれれば連絡が
知っているわ
リラの花の咲いている家でしょう
よく知っているね
ええ
いつでも来てくれたまえ
メーゾン・ラフィットへ
いつでも来てくれたまえ
メーゾン・ラフィットへ
チボー家の人々 第5巻(全5巻)
1980年2月5日第65刷発行
あくまでトリビュート記事ですが、結果として違法性の高いものになってしまいました(笑)
まあ、ジャックなら「法なんて、所詮、資本家たちの自己防衛の手段さ」と笑って許してくれると思いますが、現実はそんなに甘くないですから、ここで関係者の方々に謹んでお詫びを申し上げておきます
なお、翻訳は漫画に従いましたが、漫画に出てこなかったジャック死亡(殺害)の場面は白水社本に従いました
オマケで
ビアズリーの「黄色い本」です
「イエロー・ブック」第1号内容見本の表紙デザイン
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