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不和の林檎 [ミュージック]




英雄ペレウスと女神テテュスの婚礼に招かれなかった不和の女神エリスは、宴の場に「最も美しい女神へ」と書かれた黄金の林檎を投げ込みます
林檎の所有権を主張したのは、ヘラとアテナとアプロディテの三女神
いさかいの審判を任されたトロイアの王子パリスは…
「この世で一番美しい女性を与える」と約束したアフロディテに、林檎を渡してしまいます

というわけで…
ドリス・トロイだけで通り過ぎてしまうのはあまりにもったいないので再度触れます
(蛇足ですが、ドリス・トロイの芸名の由来は、トロイのヘレンだそうです、本当に)

ビートルズの夢工場「アップル・レコード」
1968年創設で、1973年までにB4以外のアーティストのシングルを約50種リリースしたそうですが、その中からの選りすぐりのコレクションです
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ベスト・オブ・アップル・レコード

収録されている21曲の中から、モバサム41お薦めの5曲を紹介しておきます

レコード番号 Apple 33
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Try Some Buy Some / Ronnie Spector
http://www.youtube.com/watch?v=INULgzHN6c0
まずは、数あるカバー曲の中から、ジョージ作のこの曲です
ジョージ自身の歌は、1973年のアルバム「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」に収録されているので、ロニー・スペクターが歌ったこちらの方が先の発表となります
ロニーは、フィル・スペクター夫人で、三人娘ロネッツの真ん中で「ビー・マイ・ベイビー」を艶やかに歌っていたあの人です
音は、フィルとジョージの共同プロデュースなんで、もちろん「音の壁」=ウォール・オブ・サウンドですが、ジョージがからむとそこに精神性が加味されるから、あらあら不思議

レコード番号 Apple 25
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Govinda 「ゴビンダ」/ Radha Krishna Temple
http://www.youtube.com/watch?v=4y_A7bWMdHo
2曲目は、やはりジョージがらみで、インドもの
このインド歌謡は最初ちょっと退屈ですが、途中からあれよあれよとテンポが上がっていき、結構病みつきになります
できたらもっと長尺の超高速ヴァージョンも聞いてみたい
なお、このシングル盤の美しい原色スリーヴは、コレクター間で非常に人気が高いとのこと
また、クーラ・シェイカーのヒット曲「ゴビンダ」は、この曲ではなくて、B面の「ゴビンダ・ジャイ・ジャイ」のカバーのようです(未確認)

レコード番号 Apple 8
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King Of Fuh / Brute Force
http://www.youtube.com/watch?v=hsW2-naixME
一言でいうと「くだんねぇー」 ですが、「mighty, mighty Fuh King」は結構はまってしまいます(笑)
予想通り、「お下劣」過ぎて放送禁止になり、発売も中止、レコード番号「Apple 8」は欠番となってしまいます
ラジオ放送用のものが数枚だけ存在していて、ウルトラ・レアだそうです

レコード番号 Apple 1845
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Sweet Music 「スウィート・ミュージック」/ Lon & Derrek van Eaton
http://www.youtube.com/watch?v=hXEBlSn2s-A
ジャッキー・ロマックスとどちらにするか迷いましたが、ロン&デレクにしておきます
この曲は、アメリカでのデビュー・シングル(イギリスでは、「ウォーム・ウーマン」レコード番号 Apple 46)だったそうですが、聞いてびっくり
これってピート・ハム(バッドフィンガー)の曲じゃないの?と錯覚してしまいます
ヴォーカルは、ちょっと線が細いですが…

レコード番号 Apple 43
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We're On Our Way 「星空の天使」/ Chris Hodge
http://www.youtube.com/watch?v=eaHO_UtJDGg
最後はこの曲、実は一番のお気に入りです
クリス・ホッジは、UFO愛好家で、リンゴと意気投合、その結果めでたくアップル・レコードと契約となりました

The saucers are a flying
円盤が飛んでいる
Flying in the sky
空を飛んでいる
The saucers are a flying
円盤が飛んでいる
Flying, oh, so high
空高く

My woman's a sexy lady
オレの女はセクシーなレディ
She makes love like a dream
夢のように愛してくれる
I'm burning like a fireball
オレの心は火の玉のように燃え上がり
Heading for eternity
永遠めざしてまっしぐら

We're on our way
オレたちは向かっている
We're on our way
オレたちは向かっている

確かに、ぶっ飛んでます
余計なことを歌ってないのが、潔くてカッコいいです

なお、レコード・コレクターズ12月号にピーター・アッシャー(ex.ピーター&ゴードン、もちろんジェーン・アッシャーのお兄ちゃんでリンダ・ロンシュタットのプロデューサーとしても有名)のインタビューが載っていて、皆さんにも読んで欲しいので、一部を(それでも、長いですが)ここに引用しておきます
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――アップル・レコードは”無名の若者たちにもチャンスと援助を惜しみなく与える”ということを経営理念としていました。A&R部門の長であった貴方の元には、さぞかし無名有名を問わない様々な売り込みがあったり、膨大なデモ・テープがオフィスに送られてきたことと思いますが。
「まさにその通りだったよ。アップルが広告を出したんだ。”テープを送って下さい。私たちはそれをすべて聴きます”という有名な広告をね。すると、本当に膨大なデモ・テープが送られてきた。それはそれは凄まじかったよ(笑)。私には5人ほどスタッフがついていたんだが、彼らと一緒にみんなで来る日も来る日もテープを聴いていたものさ。広告通り、送られてきたテープはすべて聴いた。あの当時にMP3が存在していなくてよかったよ。100万倍くらい大変な状況になっていただろうね(笑)。当時はもちろんカセット・テープで、それが何千本とオフィスに送られてくるんだ。1週間に1度A&Rミーティングを行っていたけれど、そこにビートルズのメンバーが参加することもあったな。でも結果はといえば1本として良いものを見つけることができなかった。悲劇だね。契約しようと思うようなものはただの一つもなかったってことだよ。歌詞もひどいものばかりで、それが何ページにも渡って書かれている。でも最初から最後まで読んだり聴いたりしなくちゃいけないわけだ」
――苦痛でしかないような仕事ですね。
「全くその通り。でも、あまりにひどい代物があると、みんなで聞いて笑って楽しんでいたこともある。今だから言えることだけど、すごく残酷な話だよね」
――では、契約したアーティストはどうやって見つけたんですか。
「すべて知り合いの紹介とか、自分が見つけたり、知っているアーティストだった。送られてきたデモ・テープからはゼロだ」

――貴方がアップルを離れた理由は?
「一番の理由はアレン・クライン。彼に尽きるね。それ以前から彼の評判はいろいろと聞いていたし、私にはとてもじゃないが、ビートルズやアップル・ファミリーの一員として彼がふさわしい人物だとは思えなかった。でもよく知られてるようにジョン・レノンは彼を買っていた。一方、ポールは全く正反対だった。二人の確執はその辺から表面化し始めたし、ジェームス・テイラーもアレンのことを最悪だと言っていた。それもあって私はすっかり嫌気がさしてアップルを辞めることにしたんだ。ジェームスがアメリカに帰った理由はドラッグの問題以外にもあるってさっき言ったよね。それがこれだ。それで私とジェームスは荷物をまとめ、さっさとアメリカに旅立ったってわけさ。それと当時の私は、ジョニ・ミッチェルとかエリック・アンダースン、ニール・ヤングなどの音楽が大好きで、大きな可能性を感じていたんだ。だから彼らがいるカリフォルニアに行こうと思ったのさ」
――現在での評価はさておき、結局のところビートルズを除くと、当時はメリー・ホプキンやバッドフィンガー、ラダ・クリシュナ・テンプルといったごく一部がヒットしたのみで、アップル所属アーティストの多くは商業的には失敗してますが。
「確かにセールス的には失敗だったかもしれない。でも当時はモダン・ジャズカルテットもリスペクトされていたし、ジャッキー・ロマックスのアルバムなんて最高に素晴らしかった。私が思うに、作品はいつか誰かが再評価してくれればいいんだよ。声を大にして言いたいのは、どの新興レコード会社だって状況は同じようなものだったってことだ。むしろアップルは良いほうだったといえるだろう。他のレーベルは発売したアルバムの99%が商業的には失敗しているんじゃないかな。それに比べれば、アップルはヒット作にもそれなりに恵まれていたし、その後になってから再評価されるようになった。よく言われるように、当時のアップルは企業としての未熟さを抱えながら、あまりに大きな理想を掲げすぎていた、だから、失敗した、とは私には到底思えないな。繰り返しになるけど、他のレーベルに比べて、アップルの”傑作度”は断然高かったわけだからね」
――それがミュージシャン、プロデューサー、マネージャー、さらには大手レコード会社の経営陣にも名を連ねた貴方なりの分析ということですね?
「そう。私のこれまでの経験から言わせてもらえば、音楽業界での成功例は1%であり、残り99%は失敗に終わるというのが結論だ(笑)。でも、とどのつまり、それがビジネスなんだ」

今日の1曲です
不要かとも思いましたが、彼らはうちのblogの準レギュラーなんで、強引ですがここに登場させておきます(笑)
レコード番号 Apple 49
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Apple of My Eye 「なつかしのアップル」/ Badfinger
http://www.youtube.com/watch?v=i3tfqXLPJmY
アレン・クラインのせいで、彼らは破滅してしまいます…
でも、ここのblogが続く限り彼らへの「再評価」を続けて参ります


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コメント 4

sknys

モバサムさん、こんばんは。
『Come and Get It』というアルバム・タイトルや
リンゴ+ヘッドフォンのジャケも含めて、ビミョーなコンピ盤ですね。
「ベスト」ではなく「サンプラー」というAmazonのレヴューに同感^^;
http://www.amazon.co.jp/Come-Get-Various-Artists/dp/B003YDXGFQ

「悲しき天使」(1968)のメロディを口ずさんでいたら、
いつの間にか「異邦人」に変奏しちゃった。
K保田早紀のヒット曲(1979)はパクリだったのね。
どうして今まで気づかなかったのでしょうか?
by sknys (2011-04-18 01:45) 

モバサム41

sknysさん、コメントどうも。
傑作選集ととるか、ただのサンプラーととるかは、聴く方の主観に寄るのでしょう。
私は、B4の持つ底知れぬ多様性、混沌がアップルのアーティストにそのまま反映されていると見ています。
「Come and Get It」というのは、アイビーズがバッドフィンガーに改名した時に、ポールから贈られたシングル曲(邦題は「マジック・クリスチャンのテーマ」)で、アルバムのタイトルとしてはこれしか考えられません。
「悲しき天使」と「異邦人」は…そんなに似てたっけ?

by モバサム41 (2011-04-19 21:50) 

kasuga kennichi

突然申し訳ございません。
私は丸善の紙袋・日本地図が描かれたものを探しております。 今でもあるよ!と思われるかも知れませんが、1986年昭和61年頃のものを探しております。古い丸善の紙袋お持ちではありませんか?
以前、キャクストンとアーサー王伝説”展1985.7.15~23 丸善・日本橋店の案内はがきを紹介されておられたのを記憶にしており、もしかしてと思い
質問させていただきました。
by kasuga kennichi (2011-04-24 00:20) 

モバサム41

kasugaさん、コメントありがとうございます。
丸善の紙袋は昔よく見たのであるかなと思って探してみたのですが、残念ながら出てきませんでした。
ご期待に応えられなくて申し訳ありません。
もしかしたら使用中の袋がどこかに紛れこんでる可能性もありますが、震災の後始末もまだ済んでおらず確認できません。
それにしても、ちょっと変わったものをお探しですね(笑)

by モバサム41 (2011-04-24 21:37) 

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