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まっぷたつの子爵 [ブック]




2017年2月13日の記事「こんな夢を見た。」で、神保町の「岩波ブックセンター」を運営する信山社が破産したことをお伝えしました
そして、その後どうなるのかと気を揉んでいたところ、今年3月4日付朝日新聞に掲載された「速水健朗の出版時評」最終回でこんなお知らせを目にしました

本の街、東京・神田神保町が少し心配である。
にぎわいはあるが、主に飲食店。古書店はくたびれ気味だし、老舗の新刊書店が大手量販店に変わる。書店数減少の時代に、本の街は生き残ることができるか。
一昨年、この街の中心に位置する「岩波ブックセンター」が閉店。跡地がどうなるか気になっていたが、4月にブックカフェとコワーキングスペースが同居する「神保町ブックセンター」が開業する。
「コワーキングスペース」を含む複合施設は、昔の風情の残る神保町に似つかわしくないように映る。だが、高い地代を本の売り上げのみで賄うのは困難。複合的な収益を狙う一方で、「本の街」の文脈と共存させるのが現実的といえるだろう。
施設のアドバイザーでブックコーディネーターの内沼晋太郎氏は、「店で本を売る」だけで本の良さを伝えることが難しい時代だという。「以前の古本街は本を探す人が来る場所でした。でも今は決まった本を探すならネットが早い。待っているだけではだめ」
内沼氏は、イベントやワークショップを企画し「人を動かすための仕掛け」づくりを試みていきたいという。
昨年刊行された『神田神保町書肆街考』は、神保町の成り立ちを記した仏文学者の鹿島茂氏の手による書だ。これによると、この一帯が書店街になったのは、明治中期。大正の震災後に今の中心部が形成される。「神保町ブックセンター」の地権者でもある出版社の岩波書店は、当時、神保町の古書店としてスタートし、その後にこの街の「ランドマーク」(地域を特徴付ける存在)へと成長したという。
「日本の出版・書店文化のメッカ」。神保町の街の個性は、新刊書店、古書店、出版社の集積にあると鹿島氏は見ている。街そのものと文化・産業が一蓮托生。危ういバランスで両立している。
個性ある街を残していく手法は、多くは見つけられていない。ともあれ、神保町の街の中心に「本」絡みの施設が残る。

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神保町ブックセンター1Fにオープンする書店のイメージ

書店とカフェのコラボ、ドッキングなんて今どき珍しくないですが、2つは隣接してても一応分離しているというのが通常だと思います
でも、ここの場合は、狭い書店の中に無理やりカフェを押し込んだという風で、本棚までの距離が近い近い
サンドウィッチをつまんだ手でそのまま棚に並んだ新刊本を引っ張り出して眺められそうで…う~ん、そんなことしちゃって良いのかしらん?と心配になってしまいます(まあ、ダメなんだと思いますが…)
ブックセンター1Fの奥、そして上のフロア(LEAGUE神保町)は、コワーキング・スペースになっていてレンタル・オフィスや貸し会議室として使用できるそうです
神保町にオフィスを構えることは結構なステイタスなので…ちょっと気になります(笑)
まあ、とにもかくにも、岩波信者としてしっかり応援させていただきます

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岩波文庫総目録 1927-1987
岩波文庫解説総目録 1927〜1996 全3冊セット 岩波文庫
80年版 岩波文庫解説総目録 1927~2006
岩波文庫の80年 岩波文庫
90年版 岩波文庫解説総目録 1927~2016
信者なんで、10年ごとに岩波文庫の解説総目録購入しています(笑)
中身は、無料で配布している「岩波文庫解説目録」と変わりないのですが…(ただし、総目録なんで絶版作品も漏らさず収録されています)

今日の1曲
Rush Hour 「ラッシュ・アワー」/ Jane Wiedlin 1988年
元ゴーゴーズのジェーン・ウィードリンです
しっかりロックしてるので好感が持てます(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=BlRWUgID8Jw
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ザ・ベリー・ベスト・オブ・ジェーン・ウィードリン

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入口にチラシが何枚か置いてあったので、取って来たらそのうちの1枚はこれでした

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人形劇団ひとみ座創立70周年記念公演 第一弾
まっぷたつの子爵
イタリアの作家カルヴィーノの奇想天外な傑作ファンタジーを人形劇化。
戦争で体が左右まっぷたつになってしまった子爵。
左右それぞれ極端な〈悪〉と〈善〉になって故郷の村で大騒動を巻き起こす!
パペット、だまし絵、影絵に飛び出す絵本まで、動くアートが舞台いっぱいに広がる、
子どもから大人まで楽しめるエンターテイメント。
まるで展覧会のような人形劇が開幕!
https://mapputatu.hitomiza.com/

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コメント(2) 
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コメント 2

sknys

最近はスーパーやコンビニにもカフェ・スペースが併設されています。
書店+カフェよりも、書店+試聴室の方が相性が良いと思いますが、
紙の本もCDアルバムも売れないんでしょうね。

「大江健三郎全小説」(全15巻)が刊行中!
第1回配本『大江健三郎全小説3』(講談社 2018)に、
「大江健三郎自選短篇」(岩波文庫 2014)には未収録だった
「政治少年死す」(文學界 1961)が初収録されています
‥‥岩波書店は腰が引けていたのではないでしょうか^^;
by sknys (2018-09-08 12:12) 

モバサム41

sknysさん、コメントありがとうございます
大江の健ちゃんは、昔よく読んだけど最近ご無沙汰です
社会が右傾化する中で「全小説」の刊行は大変意義があると思います
by モバサム41 (2018-09-17 00:37) 

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