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シェキナベイベー [ミュージック]




以前の記事で岩波書店から刊行されていた学術誌『へるめす』を読んでいたとお伝えしたことがありますが、その雑誌の編集同人がまた一人お亡くなりになってしまいました

詩人の大岡信さん死去 朝日新聞で「折々のうた」
朝日新聞の詩歌コラム「折々のうた」で知られ、文学をはじめ音楽、演劇、美術など多彩な分野で評論活動を行った詩人で、文化勲章受章者の大岡信(まこと)さんが5日、誤嚥(ごえん)性肺炎のため静岡県三島市の病院で死去した。86歳だった。家族で密葬をし、後日お別れの会を開く予定。喪主は妻で劇作家の深瀬サキ(本名・大岡かね子)さん。
(4/6付記事より)

朝日新聞の購読者だというのに、「折々のうた」は全く読んでなくて、申し訳ないの一言です
ここに謹んでご冥福をお祈り申しあげます

一応、マイ・ライブラリーを探してみたら、たった1冊だけ見つかりました
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ギュスターヴ・モロー 夢のとりで
文・大岡信
PARCO出版

大岡信とモロー、そしてPARCO出版…って、あまりよくわからない取り合わせですが、完封負けをなんとか逃れたので、ホッとしています(笑)

「折々のうた」を読んでいなかった罪滅ぼしではありませんが、「折々のことば」は読んでます
ここで、私の「折々のことば」ベスト・セレクションをご紹介しておきましょう

折々のことば 4
時が流れる、お城が見える
アルチュール・ランボー
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原文はコンマをはさんで「季節(セゾン)」「城(シャトー)」という語が二つ、「オー」というため息とともに並ぶだけ。ふつうなら「ああ季節、ああ城」と訳すところ。これを小林秀雄はなんと「季節(とき)が流れる、城砦(おしろ)が見える」と訳した。中原中也の訳もこれに倣っている。「流れる」「見える」という動詞を加えることで、時のたなびき、物の佇まいがいっそう濃密になる。詩集「地獄の季節」から。
2015.4.4

折々のことば 206
《私》ってのは他者なんです。
アルチュール・ランボー
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私は自分のことを「私は」と語りだす。が、「私」は私だけが使う語ではない。だれもが自分ことを「私」と言う。そのかぎりで「私」はもう私に固有のものではない……。朝一番から理屈っぽいことを言ってすみません。でもこれで「私らしさ」などとはそう簡単には言えないことをわかっていただきたかったのです。詩人の書簡(鈴村和成訳「ランボー全集」)から。
2015.10.29

折々のことば 383
パンクが好きです。モテません。
古着屋店員(28歳・女性)
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ピアスをいっぱい。眉毛は黄色。ジャケットは鋲だらけ。そんな風だからだろう、「めちゃめちゃモテたいわけではないけど、あまりにもモテません」と嘆きの投稿。「いろいろやっちゃったから引っ込みがつかなくなっているんでしょう」と放送作家の宮藤宮九郎さん。迷わず個性的でいればきっとそのうち、と背中を押す。深夜のテレビ番組「おやすみ日本」(4月10日)から。
2016.4.28

折々のことば 489
だったら私は泣きわめく女になる。
湯川れい子
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戦時下、海軍大佐の夫を病で失い、長男は戦死、特攻死を免れた次男も一時行方不明。それでも母は軍人の妻として一度も涙を見せなかった。「そういう時代に居合わせてしまったから」という母に娘がこう返した時、母は初めて落涙したと音楽評論家は語る。敗戦時、「辱めを受けそうになったらこれで自害を」と渡された懐剣は今も押し入れに。本誌記者の取材でのこぼれ話から。
2016.8.15

折々のことば 279
Shake it up baby
内田裕也
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シェキラベイビーともシェキナベイベーとも聞こえる。初期ビートルズがカバーした曲「ツイスト&シャウト」で有名になったフレーズ。「あれを振って踊りな」。「あれ」は腰とかいろいろ想像できる。お利口さんでいたくないんだろ、もっと突っ張っていいんだよ、お前のいいところをふてぶてしく出せ、という感じか。このロック歌手の決めぜりふは、生き方としての「ロック」を象徴する。
2016.1.13

…という訳で、今日の1曲
Twist And Shout 「ツイスト・アンド・シャウト」/ The Beatles
https://www.youtube.com/watch?v=pVlr4g5-r18
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B面「ロール・オーバー・ベートーヴェン」のオリジネイター、チャック・ベリーも亡くなってしまいました
ご冥福をお祈り申しあげます

折々のことば 721
It's Only Rock'n'Roll (But I Like It)
ザ・ローリング・ストーンズ
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1974年にリリースされた英国のロックバンドの曲のタイトル。「たかがロックンロール。でも好きなんだ」。ロックンロールを「たかが」と突き放し、すぐに「でも」と引き取るところに、高みからの物言いへの反撥がある。そういえばサザンの桑田佳祐も自身の歌詞集に「ただの歌詞じゃねえか、こんなもん」と題をつけた。あえて「歌詞」と書くところに歌手の密かな意地が透かし見える。
2017.4.21

今日のもう1曲
It's Only Rock 'N' Roll (But I Like It) 「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」/ The Rolling Stones
https://www.youtube.com/watch?v=JGaBlygm0UY
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コメント 2

sknys

MY本棚に『現代文学・地平と内景』(朝日新聞社 1977)がありました。
夕刊に月2回掲載された「文芸時評」(1975.12~1977.1)です。

内田裕也のツイッターが面白い。坂本龍一もフォローしている。
https://twitter.com/uchidayuya
by sknys (2017-04-27 12:25) 

モバサム41

sknys さん、コメントありがとうございます
『現代文学・地平と内景』って滅茶古い本ですね(笑)
内田裕也はもっと過激なこと言ってるかと思ったら、ごくまともなこと言っててびっくりです
ロックンロールを聞くと人格者になるのですね(半分残念だけど…笑)
by モバサム41 (2017-04-30 13:42) 

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