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デカダン(退廃) [ミュージック]

「デカダン(退廃)」という言葉をキーワードにして…

サイコモド(さかしま)/スティーヴ・ハーリー& コックニー・レベル
グラム・ロックの雄、コックニー・レベルの1974年発表の2nd
今年1月に1st「ヒューマン・メナジュリー(美しき野獣の群れ)」を入手したときには、2ndの方は品切れで手に入らなかったのですが、今回amazonでようやくゲット!
コックニー・レベルといえば、シアトリカル・ロック、デカダンス・ポップ、というようなレッテルも貼られます
70年代にポッと出てきてあっという間に消えた泡沫バンドで、実を言うと私も存在すらずっと忘れておりました
ところが、映画「ベルベット・ゴールドマイン」で曲が使われ、私の意識下に舞い降りてきました
ただ、当時は国内版CDも出ておらず、結局ここまで待たされることに…
で、このアルバムの聞きどころですが、シングルにもなった「ミスター・ソフト」の屈折具合と、ラストを飾る「タンブリング・ダウン(転落)」の(名曲「悲しみのセバスチャン」の二番煎じかもしれませんが)劇的な盛り上がり、かな
「転落」というタイトルもデカダンで良かった
そう言えば、「さかしま」って何? と当時思ったものですが、「さかさま」ってことでしたね
あっ、ジャケット写真は、当blogでも紹介済みのミック・ロックです

さかしま/J.K.ユイスマンス
で、元ネタは、こちらだったんですね
三島由紀夫が「デカダンスの聖書」と呼んだジョリス・カルル・ユイスマンスの耽美小説
「美と退廃の人工楽園」という副題もいかしてます
生産や効率を第一とする世俗社会に反抗し、「さかしま」な「人工楽園」を築き上げようとした男のお話なんですが、独特の価値観に共感できても、ストーリーはほとんど何もないので正直読むのはつらかった
主人公の趣味と嗜好が延々と続くだけなんで、偏屈的人生の指南書・ガイドブック、あるいは、カタログ小説とでも言えるかもしれません
ってことは、世紀末版「なんとなくクリスタル」、もうちょっと品良く言えば、デカダンス版「枕草子」かな
文庫本も出てるようなので、それなら買ってもいいのでは…箔はつきます

最後に、ダブル「サロメ」を
踊るサロメ/ギュスターヴ・モロー
「さかしま」で、絶賛されていたのが、モローの絵画
「サロメ」にはいろんなヴァージョンがあるのですが、「さかしま」で直接触れていたのは「出現」の方でしたっけ?
でも、私はこの「刺青」ヴァージョンが一番好き
8月からBunkamuraザ・ミュージアムはギュスターヴ・モロー展なんで、また会えるかも…

孔雀の掌裾/オーブリー・ビアズリー
そして、オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵として使われたのが、ビアズリーの一連の作品でした
これで、サロメさん、世界一有名なファム・ファタール(男を滅ぼす宿命の女)と成り上がりました

実は、このダブル「サロメ」、うちの玄関に飾ってあるのですが……はい、誰も気づいてくれません
あ、言われなくてもわかります
ま、デカダンなんて、しょせん自己満足ですから~

今日の1曲
Mr Soft「ミスター・ソフト」/Steve Harley & Cockney Rebel


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コメント 12

hanao

このアルバム邦題がいいですよね。ジャケも最高にデカダンスです。
最近シンコーミュージックから出てたグラム・ロック特集本ではシアトリカルなステージングだったと書いておりました。動いてるの観たいっす…
しかし、オーブリー・ビアズリーが玄関にあるお宅って素敵です(笑)。
ではでは。
by hanao (2005-06-13 00:49) 

モバサム41

hanaoさん、コメントありがとうございます。
コックニー・レベルを知ってる方が意外といるので、心強いです。
ビアズリーは、実はジグソーパズルなんですが、こんなのが出てるってことは、かくれファンが多い証拠ですよね。
by モバサム41 (2005-06-13 22:39) 

yubeshi

濃い内容なのでコメントしたいけどどうしようって悩んでコメントします。
コックニーレベルのこのアルバムは廃盤だと思っていたので、まだ売っている事が分かって嬉しいです。さっそくチェックしてみます。
さかしまの本は今日書店でチェックしてみたのですが、売っていませんでした。AMAZONで購入できるみたいですね。
で、サロメなのですが、この2枚は本当に凄いと思います。
モローの方は私も上野で見たのですがサロメにではなく絵画という2次元の空間に直接、刺青を入れているようでそこが好きです。
ビアズリーというか、私オスカーワイルドが大好きなのでこれは外せませんね。
コメントする知識が私にあるか分かりませんが、こういう濃い記事はこれからもやって下さい。もちろんnice!です
by yubeshi (2005-06-16 22:53) 

モバサム41

告白するのが恥ずかしいんですが、実は昔文学青年(しかも、澁澤龍彦の影響大)でした。
by モバサム41 (2005-06-17 00:03) 

華龍

デカダン・・・影響受けちゃいましたねぇ~。
オーブリー・ビアズリーって名前だったんですね。
この人のイラストはよくみかけました。
個人的には和風デカダンも好きなんですけどね。
by 華龍 (2006-01-18 13:37) 

モバサム41

「退廃の美学」なんていうアルバム・タイトルもありました。
和風は誰ですかね? 
パッと浮かぶのは太宰ですけど。
by モバサム41 (2006-01-20 01:35) 

華龍

私の個人的意見ですけど・・・まず第一に夢野久作を思い出しましたね。
三一書房出版の「夢野久作全集」の表紙なんかそうかな?(今も発売してるのかしら??)また機会があれば私のブログででも紹介しますぅ。
by 華龍 (2006-01-20 21:46) 

モバサム41

夢野久作は、読まなきゃと思いつつまだ読んでないんですよ。
ミュージシャンだと、あがた森魚なんかかな。
by モバサム41 (2006-01-20 23:15) 

華龍

まだ未読だったんですね。作品によっては神経が張り詰めてきそうなのもあるので、多忙な時は避けた方がいいかもしれませんのでご注意を。
ミュージシャンだと・・・日本人なら、井上陽水の昔のアルバム・・・海外なら、ソフト・セル(特にマーク・アーモンド)かな?
あがた森魚は好きですねぇ。
by 華龍 (2006-01-22 02:41) 

モバサム41

「ドグラ・マグラ」だけでも、読んでおきたいですね。
ソフト・セルは意外ですね。
ま、マーク・アーモンドのソロ時代は聞いてないからな。
by モバサム41 (2006-01-22 13:55) 

華龍

今週の記事で夢野久作紹介しましたので、よければ見に来てくださいね。
by 華龍 (2006-01-22 14:05) 

モバサム41

お邪魔女します。
by モバサム41 (2006-01-22 21:32) 

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