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バベルの図書館 [ブック]


人類は… 
唯一無二の人類は… 
絶滅への途上にあり、
他方図書館は永遠につづくだろうと思われる。
輝き孤独で、無限に、完全に不動で、貴重な書物にみち、無用で無窮に、ひそやかに。
(ボルヘス)


バベルの図書館
La Biblioteca di Babele
編纂/序文 ホルヘ・ルイス・ボルヘス 全30巻
A5判変形型 函入
国書刊行会

7.ヴォルテール ミクロメガス

(収録作品)
メムノン――または人間の智恵
慰められた二人
スカルマンタドの旅行譚――本人直筆の手記
ミクロメガス
白と黒
バビロンの王女

8.H・G・ウェルズ 白壁の緑の扉

(収録作品)
白壁の緑の扉
プラットナー先生綺譚
亡きエルヴシャム氏の物語
水晶の卵
魔法屋

11.E・A・ポー 盗まれた手紙

(収録作品)
盗まれた手紙
壜のなかの手記
ヴァルドマル氏の病症の真相
群集の人
落し穴と振り子

15.千夜一夜物語 バートン版

(収録作品)
ユダヤ人の医者の物語
蛇の女王
 ブルキヤの冒険
 ヤンシャーの物語

19.カゾット 悪魔の恋

(収録作品)
悪魔の恋

24.千夜一夜物語 ガラン版

(収録作品)
盲人ババ・アブダラの物語
アラジンの奇跡のランプ

29.ヴィリエ・ド・リラダン 最後の宴の客

(収録作品)
希望
ツェ・イ・ラの冒険
賭金
王妃イザボー
最後の宴の客
暗い話、語り手はなおも暗くて
ヴェラ

今回は、個々の作品についてのコメントは割愛させていただきます
絶滅への途上にある種族は、控え目であらねばなりません
ただ…書物の中身なんてどうでもいいですから、純粋にオブジェとして崇めてやってほしい
これらの珠玉の「宝石」を手に取ろうとしないのは、愚かな…いや、臆病な振舞いです

今日の1曲
Jacaranda 「ジャカランダ」/Sailor
セーラームーンとは何の関係もありません
10ccのような、スパークスのような、初期ロキシーのような…
とにかく、いかがわしさ満開です
http://www.youtube.com/watch?v=ihs5_uYLY10
彼らの最大のヒット曲「二人のシャンペン・グラス」もどうぞ
http://www.youtube.com/watch?v=FeISAc9j0WE

(左)無国籍サウンドの宝石箱~アンソロジー1975-2005
(右)トラブル

さて…
幻想文学を極めようと思うなら、嫌でも国書刊行会のお世話にならないわけにはいきません
私なんて、まだまだライト・ユーザーの部類で…
世界幻想文学大系」やら、「ドイツ・ロマン派全集」やら、ラヴクラフトの「真ク・リトル・リトル神話大系」やらを全巻揃えている兵が世に存在したなら思わず抱きついて熱く…いやいや、取り乱してはいけません
冷静に冷静に…というわけで、やはり赤の他人の振りしてさっさと素通りさせていただきます

それにしても、「国書刊行会」というのは、なかなか得体の知れないネーミング
…なわけで、ここで唐突ですが、「変な名前、怪しげな名前のランキング 幻想文学系出版社編」の発表をさせていただきます
本自体は前に紹介した物ばかりで新鮮味がなく心苦しいのですが…でも、持続可能な循環型blogを形成するためには、地道に3R(Reduce, Reuse, Recycle)に努めなければなりません

では、早速5位から3位の発表

5位 王国社 ←シュオッブ「少年十字軍
別にフツーじゃんと思われるかもしれませんが、この「王国」というのは、もちろんキリスト教の終末思想に登場する至福千年、千年王国のこと
サタンとの最終戦争(=春マゲ丼)や最後の審判など有名なイベント盛り沢山で激動の千年間です
どうでもいいことですが、芥川の「藪の中」は 「少年十字軍」のパクリです
4位 桃源社 ←サド「新ジュスチーヌ
中国のユートピアである「桃源郷」から
「晉太元中。武陵人。捕魚爲業。縁溪行。忘途之遠近。忽逢桃花林。夾岸數百歩。中無雜樹。芳草鮮美。落英繽紛。」
3位 牧神社 ←ヤコブ・ベーメ「黎明(アウロラ)」
神様の名前からってのは、ありふれてるかもしれません(あぽろん社ってのもあります)
でも、牧神パンというのは、下半身山羊で毛むくじゃら…異教の匂い濃厚です

そして、2位と1位は…

2位 書肆風の薔薇 ←ボルヘス、カサーレス「天国・地獄百科
つけもつけたり、あっぱれじゃ! って叫びたくなるようなネーミング
でも、さわやかなイメージは全くなくて、どこからともなく異端の香りが漂ってくるのは…中世ヨーロッパの秘密結社「薔薇十字団」を連想させるから?
1位 奢霸都館 ←マンディアルグ「ビアズレーの墓
出た~! サバトですよ、ブラック・サバスですよ、オジー・オズボーン万歳! ブロッケン山のワルプルギスの夜は、フィーバー、フィーバーで大騒ぎ!
…ってなわけで、魑魅魍魎が跳梁跋扈、百鬼夜行、ソロモン72柱開封、悪魔復活大集結で物凄いことになりそうなので、残念ながら放送はここまでとさせていただきます

P.S.
今回は、featuring ボルヘスとなってしまいましたが…
もちろん好きですよ、ガルシア=マルケス
(見え見えな展開でしたが、敢えて正面突破させていただきました)

コメント 10

yubeshi

+αのトラップに気づかなかったのは不覚でした。
今回もトラップ満載ですね(ドローイングがGOODだし、セイラーってのも気になる、廃刊の本アフェってるし・・・笑)
しかし、閣下がガルシアマルケスのバッグを小粋に下げてルンルンな姿は想像したくありません(爆)
by yubeshi (2007-10-19 22:53) 

モバサム41

ガルシアマルケスはずっと狙ってたんですが、やっとここで披露することができました。
もうちょっと熟成するのを待った方が良かったかもしれません。
「ルンルン」は、5年ぶり位に聞いた気がします。
by モバサム41 (2007-10-20 00:33) 

sknys

モバサムさん、こんばんは。
縦長スリムで水色の「バベルの図書館シリーズ」は書店でも図書館でも
目立ちましたね。

「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」の冒頭で披瀝される
僚友アドルフォ・ビオイ=カサーレスとボルヘスの有名な議論
──《語り手が事実を省略もしくは歪曲し、様々な矛盾をおかすために、
少数の読者しか ──ごく少数の読者しか──恐るべき、あるいは平凡な
現実を推測し得ない、1人称形式の小説の執筆について‥‥》で
言及されている「小説」が『モレルの発明』(書肆風の薔薇 1990)だった。
絶海の孤島に辿り着いた「私」が体験する未曾有のSF幻想譚。
「私」とモレルとフォスティーヌの奇妙な3角関係‥‥。

「サンリオSF文庫」や「妖精文庫」(月刊ペン社)も期待して良いのかな?
『ジンボー』(アルジャナン・ブラックウッド)の高画質カヴァ画像を
UPして欲しいなぁ^^
by sknys (2007-10-21 02:37) 

モバサム41

「書肆風の薔薇」は、「水声社」に名義変更したようです。
「サンリオSF文庫」は、当時は「あのサンリオが~?」ってことで手に取る気にもならなかった(ホントに)
「妖精文庫」については、後からやっと存在に気づいたという有様で実物は目にしたことありません。
いくつかの作品は、ちくま文庫等で復活したようですが。
by モバサム41 (2007-10-21 20:42) 

aosta

初めまして。

バベルの図書館を検索してこちらに伺いました。
写真が素敵ですね!
表紙だけでなく、月報の写真まであって、素晴らしいです!!

過去ブログにもベルギー象徴派など私も興味を持っている記事を発見いたしました。また改めて伺わせていただこうかと思います。
ありがとうございました。
by aosta (2010-05-24 11:58) 

モバサム41

aosteさん、コメントありがとうございます。
「バベルの図書館」は一時書店から姿を消していたのですが、最近また出回っていますね。
何冊か新たに入手しておこうと思っています。

素敵なブログをお持ちですね。
こちらからもお伺いしますので、よろしくお願いします。
by モバサム41 (2010-05-25 07:34) 

aosta

モバサムさん

早速のお返事をありがとうございました。
ブログを見ていただいたとのこと、ありがとうございます。
「白壁の緑の扉」に関しては、あのような解説めいた事を記しましたのは、全くの蛇足だと思っています。
物語を読むひとそれぞれがそれぞれに感じることだけで十分です。

>「バベルの図書館」は一時書店から姿を消していたのですが、最近また出  回っていますね。

知りませんでした!
新刊で、という事ですよね。このシリーズはどれもみな魅力的で、なろうことなら全巻揃えたいところです。でも先立つものが・・・(笑)
by aosta (2010-05-25 08:37) 

モバサム41

aostaさん(←前回お名前を間違えてしまいました、すみません)、コメントありがとうございます。
「バベルの図書館」ですが、amazonではなくなりつつありますね。
私は、とりあえずボルヘスの「パラケルススの薔薇」を購入しておきました。
全巻揃えたいのですが、私もaostaさんと同じ理由で我慢しています。
by モバサム41 (2010-05-26 17:56) 

aosta

モバサムさん

しつこく同じ記事へのコメント、お許しください。
パラケルスス!
その昔澁澤龍彦の「黒魔術の手帖」で知った懐かしい名前です。
学生の頃、宝物だった澁澤龍彦全集は、止むをえない事情で手放すことになり、いつかまた、と思いながら、いまだに文庫でしか揃えることができずにいます。
ボルヘス、だったと思うのですが「山」という何とも不思議な後味を残す小説を読んだことがありました。もう一度読みたいと思って探すのですが、見つかりません。ボルヘスではなかったのかもしれません。
また名前を間違って記憶しているのかもしれません。確か幻想小説のオムニバスか何かだったようにも思うのですが、モバサムさんがご存知でしたら教えて頂けますでしょうか?

追記
「少年十字軍」、私も好きです♪
多田智満子さん、すごい人だなって思います。
さすが澁澤龍彦の肝いり!
平野啓一郎 さんの「日蝕 」も良かった!
by aosta (2010-05-27 14:45) 

モバサム41

aostaさん、コメントありがとうございます。
澁澤龍彦全集を揃えていたとはすごいですね。
『山』というのは作品名なのでしょうか?
私が持ってるボルヘス本は、白水Uブックスの「ブロディーの報告書」と「不死の人」、岩波文庫の「伝奇集」、そして「パラケルススの薔薇」ですが、『山』という作品は見つかりませんでした。
見つからないとかえって気になる…←これって、「ボルヘス的」なテーマかもしれません。

by モバサム41 (2010-05-28 02:29) 

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