プルースト vs. ジョイス [ブック]
単なる業務連絡記事ですが…
これは、ちょっと予測できませんでした
以下、復刊ドットコムからの引用です
本書は、世界文学史上最長にしてもっとも難解とされる小説『失われた時を求めて』の第1篇第1部「スワン家のほうへ-コンブレ-」を、フランス人アーティストの手によってマンガ化した作品です。
これまで『失われた時を求めて』の読者にとって大きな壁となっていた複雑な意識構造を大胆に整理し、舞台となっている19世紀末のフランス社交界の風俗を緻密に描き込むことで、まるで読者自身が物語の中に入り込み、主人公とともにその場に居合わせているかのような、これまでにない読書体験に導いていきます。
「古典の冒涜か?名作の新解釈か?新しい読書体験への招待か?フランス本国でも評価の分かれた問題作!」とのことで、反対派も多数存在するようですが、私としては…こういった試みは大歓迎です
有名(でもない?)な割には、誰も読んでない(読みこなせない?)ようなので、とにかくチャンネルが増えるのは良いことです
私は学生時代に読破しましたが、当時はこの新潮社版(今は絶版)より他に選択の余地がなかったもんな
当時18,000円という価格は、貧乏学生には大打撃でした(笑)
もちろん、コミック化に対して疑問がないわけではありません
まずは、マンガがこの壮大な物語をしっかり描ききれるかどうかということ
この物語の主人公は、名無しの「私」でも、花咲く乙女アルベルチーヌでも、もちろんゲルマント公爵夫人やシャルリュス男爵なんかでもありません
この物語の真の主人公は…登場人物たちの背後に隠れていて最後にようやく姿を現しますが、「時」なのです(この物語の欠点として「長さ」を掲げる人がいますが、相手が「時」なのですから…むべなるかな、いたしかたありません)
そして、この圧倒的な存在感を示し、それでいて軽やかに円舞する「時」を、表現メディアとしてはまだまだ歴史の浅いマンガ(フランス産はジャパニーズ・アニメ文化をしっかり吸収してレベルが相当高いとのことですが…)が果たして描ききれるのかどうか…
それからもう一つ
(これを言ってしまうと、元も子もなくなっちゃうのかもしれませんが)私にとって「失われた時を求めて」は、あまりに明晰な作品(フランス的な明晰さの典型)なので、そもそもコミック化する必然性があるのかということ
私にとってより難解なのは、フランス帝国軍の行く手を阻んだ冬将軍の産物「戦争と平和」であったり…蛮族どもの行動は全く理解できません
それと、これもトラファルガル海戦で苦汁をなめさせてくれた海賊どもの産物で、20世紀文学の双璧のもう一方と言われる「ユリシーズ」であったり…中年男が何をふらふらと徘徊してんだか訳わかりません
これらの方がよっぽどコミック化が必要です(笑)
河出版世界文学全集 Ⅱ‐13 ユリシーズ1
河出版世界文学全集 Ⅱ‐14 ユリシーズ2
「ユリシーズ」ときたら変幻自在のスタイル(=文体)が有名ですが、マンガがこれにどう立ち向かうのか…この異種格闘技戦は、結構好試合になるかもしれません
そうよだってあさのしょくじをたまごふたつつけてベッドのなかでたべたいなんてかれがいったことはシティアームズホテルにいたころからずっといっぺんだってなかったことなんだものあのころかれはいつもびょうにんみたいなこえをだしてびょうきでひきこもってるみたいなふりをしてていしゅかんぱくであのしわくちゃのミセスリオーダンのおきにいりになろうとしてじぶんではずいぶんとりいってるつもりだったのにあのばばあときたらみんなじぶんとじぶんのたましいのめいふくをいのるミサのためにきふしてあたしたちにはびたいちもんのこさないなんてあんなひどいけちんぼあるかしらメチルをまぜたアルコールに4シリングつかうのにだってびくびくしていつもじぶんのたいしたことないびょうきのはなしばかりあれやこれやそれからせいじのはなしやじしんのことやこのよのおわりやらうんざりするふるめかしいおしゃべりもうすこしおもしろいはなしをしたらどうかしら…
(タッチタイピングのれんしゅうですできないけど…)
楽しみと日々 福武文庫
シナリオ 失われた時を求めて ちくま文庫
ダブリン市民 新潮文庫
ダブリンの市民 福武文庫
「失われた時を求めて」の抄訳もいろいろあるみたいですが、ヴィスコンティの映画シナリオは(たったの1巻本ですが)侮れません
今日の1曲
Noi 「失われた時を求めて」/Matia Bazar
http://www.youtube.com/watch?v=pn5Ltr99rtM
すでに紹介済みなのでもう1曲
Ti Sento 「失われた島」/Matia Bazar
http://www.youtube.com/watch?v=EuF3jFLMlSM
アントネッラは、歌うまいな~
どうでもいいことですが、「失われた島」は1986年マイ・チャートの年間第1位、「失われた時を求めて」は1988年の年間第6位です
…というわけで、
プルーストとジョイスをまともに論じて比較しようと思ったら、構想に1年、執筆には3年かかりそうなので、テキトーにお茶を濁しておきました
次回は、プルーストの続編(←おいおい、まだやるのかよ?)か、拝啓EMI殿(仮題)か、どちらかです
モバサムさん、こんばんは。
新潮社版で良かったような気が‥‥。
書棚の奥に死蔵されている『プルースト全集』
(失われた時を求めて1〜10)の合計金額は¥43140(号泣!)です
‥‥「貧乏学生には大打撃でした」。
しかも、全集完結後に筑摩文庫版が出たのよね。
Antonella Ruggieroは高音巻舌が魅力です(激肥り写真にガクゼン!)。
《the very best of Matia Bazar - Souvenir》(EMI 1998)は
タワレコのバサールで¥305(CD2枚組!)でした。
本もCDも安いに越したことはないです^^;
by sknys (2007-10-27 00:40)
おお、全集揃えてるとはスゴイですね。
誉めてあげますから、「ジャン・サントゥイユ」譲ってください(笑)
CDは、中古や輸入盤ではなく、国内盤新婦を購入しましょう。
by モバサム41 (2007-10-27 01:05)