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薔薇物語 [ブック]


ついに、こんな「幻の奇書」まで文庫本化されてしまいましたか…

中世フランスの寓意物語(アレゴリー)屈指の巨編にして、文学的知の百科全書
夢に誘われて迷い込んだ〈悦楽〉の園、そのナルシスの泉の水底に映った一輪の薔薇の蕾に魅せられた若者の、天上界・地上界・現世を巡る知の大アヴァンチュール
歓待、拒絶、理性、羨望、羞恥…おびただしい数の寓意人物たちが現れ、主人公に秘めやかな恋の手ほどきを授けるかと思うと、時には邪険にはぐらかす…
神秘の旅路の果てに、主人公は、憧れの薔薇の蕾を手に入れることができるのか

中世の愛と知のディスクール
薔薇物語 上 ちくま文庫

雅と俗、知と悦楽の巡礼
薔薇物語 下 ちくま文庫

学生時代、私がフランス文学読破の道標に使用したのは岩波の「フランス文学案内」でしたが、その冒頭「中世期」にいきなり登場するのが、
・聖人伝(「聖ルイ伝」)、
・武勲詩(「ロランの歌」)
・宮廷(騎士道恋愛)文学(ケルトのアーサー王伝説をフランス化したクレチャン・ド・トロワの作品や歌物語「オーカッサンとニコレット」)
・風刺写実文学(「狐物語」)
・教訓文学
・南仏の文学
という6つの分類でした
その第5のジャンルである教訓文学、寓意文学の傑作として紹介されていたのが、この「薔薇物語」です
ただ、当時は翻訳が出ていなくて、以後この作品の引用、参照を目にするたびに歯がゆい思いをしたものです

それが、ここにきてまさかの文庫本化…
調べてみたところ、1995年に未知谷から(日本翻訳出版文化賞受賞作)、そして翌86年には平凡社から(読売文学賞研究・翻訳賞受賞作)、と続けて単行本化されていたそうです
で、後者をほぼ忠実に(カラー細密画や木版画の挿絵、訳注、索引をカットせずに)文庫本化したのが、このちくま文庫版だとのこと

いや~、ホントに、筑摩書房には頭が下がります
岩波で手に入らない古典は、ちくま文庫で知らぬ間に出ている、そんな感じです
もちろん、中世文学でも大変お世話になりました

アーサー王の死 中世文学集1 ちくま文庫

ローランの歌 狐物語 中世文学集2 ちくま文庫

エッダ グレティルのサガ 中世文学集3 ちくま文庫

ついでなんで、ここで紹介しておくと…

“キャクストンとアーサー王伝説”展
~マロリーの『アーサーの死』出版500年を記念して~
1985.7.15~23 丸善・日本橋店

(左)案内葉書表面
(右)案内葉書裏面 サー・トーマス・マロリー「アーサーの死」ウィンチェスター写本より

復刻版 「アーサーの死」 Th.マロリー作、A.ビアズリー挿画
案内チラシ

1485年に英国最初の出版業者ウィリアム・キャクストンによって出版された「アーサーの死」を、オーブリー・ビアズリーの挿画(彼のイラストは1893-4年に出たデント版に収録)入りで復刻、とのことでした
まあ、これしかないという選択です
アーサー王伝説をテーマに描いた画家なんて無数にいますが(例えば、ラファエル前派)、ビアズリーの天才には誰もかないませんから
なお、当blogの過去記事「吸血鬼ビアズリー」が閲覧数3,000を突破、その記念に、ヴァージョン2.0出す予定です

で、話を「薔薇物語」に戻して、肝心なことを言い忘れておりました
2巻で約1,000ページのこの作品をいつ読むかってことですが…
まあ、当分無理だと思います(笑)
なかなか忙しくて…
いや、本を読んでないというわけではないのです
仕事関係の本なら雑誌も含めて毎日かなりの量を読んでいます(まあ、いわゆるくっだらない本です)
で、その結果、まともな本は全然読めないってことになります
あまり大きな声では言えないのですが、今年に入ってから読んだまともな作品はたったの5つだけ…
民衆の敵」と「マダム・エドワルダ/目玉の話」、「ユダヤ人のブナの木」、「歌行灯」、「守銭奴」かな
これではいけない、で、どうせだったら(なぜだか今年最大のヒット記事になってしまった)「バタイユ『眼球譚』→『目玉の話』」の二番煎じで新旧対決やってみるかってことで、ド・クインシーの「阿片常用者の告白」新訳版を読み始めましたが…
あっ気なく12ページ目で挫折しちゃってます

(左)阿片常用者の告白 岩波文庫
(右)深き淵よりの嘆息 『阿片常用者の告白』続篇 岩波文庫

なわけで、最後に、憂さ晴らしも兼ねてやっときます
かなり唐突ですが…

そっくりさんシリーズ

「レッド・ローズ・スピードウェイ」のジャケットと…
(一体ポールは何考えてんだ~と、当時評判になりました)

レッド・ローズ・スピードウェイ

そして、こちらは…
バイオ怪獣ビオランテ 花獣形態

ちなみに、ビオランテの名前の由来は、ヴェルレーヌの詩の一節「秋の日の ヴィオロンの ためいきの…」だそうです

今日の1曲
予測通りの展開かもしれませんが、外せません(笑)
Election Day 「エレクション・デイ」/Arcadia
http://www.youtube.com/watch?v=tBPA21OJltI
でも、こんなCD持ってねえよ

情熱の赤い薔薇

情熱の赤い薔薇

  • アーティスト: アーケイディア
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2007/10/03
  • メディア: CD


(補遺)
ゴジラVSビオランテ

http://www.youtube.com/watch?v=OTYtUeGxV28&feature=related
薔薇戦争です

コメント 2

yubeshi

閣下の悪影響で買っちゃいましたよ。
文庫が1冊1500円するとは夢にも思いませんでした(しかも2冊)。
しかも、本文よりも注釈のほうが多いし(笑)
とは言え、これは読んでおく価値アリですね。正月の愛読書はこれでキマリです(爆)
by yubeshi (2007-12-30 13:21) 

モバサム41

騙されて買っちゃったんですね(笑)
yubeshiさんに先に読まれたら洒落にならないので、すぐに読むのを中止して本棚に飾っておいてください。
by モバサム41 (2008-01-02 21:00) 

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