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アカデミー・フランセーズ [ブック]




ちょっと前の朝日新聞(夕刊)からの引用です

伝統アカデミーの危機 
 仏 会員のなり手なく

アカデミー・フランセーズはフランス語の権威として君臨する仏最古の学術団体だ。
多様な分野から選出された40名の会員が毎週木曜日、厳かに一同に会し、辞書の編纂に携る。7年前からRで始まる言葉を見直し中というから、なんとも気の遠くなるような作業である。ルイ13世治下にあった1635年の創設以来、辞書改訂は今回で9回目を数える。
アカデミー会員に選出されるのは名誉中の名誉とみなされる。ところがいま、7名もの空きが出てしまった。終身会員制なので、平均年齢は80歳近い。昨年以来、会員の死亡が相次いだことが直接の原因だが、最大の問題は、言葉の問題に敏感であるはずの文学者、それも仏文学を代表するような文学者の中に立候補者がいないことだ。
陰で折衝が重ねられているようだが、ソレルス、ル・クレジオ、モディアノ、キニャールなど、世界的に名を知られる文学者は、みな逃げ回っているようす。アカデミーの危機か、とまでささやかれている。
この2月に逝ったヌーヴォー・ロマンの旗手アラン・ロブグリエは、4年前に80代で会員に選出されたものの、恒例の入会演説や時代がかった大礼服を拒否し、徹底した反逆児の姿勢を貫いた。だが、これは例外中の例外。文学の本質からはほど遠い形式ばった伝統や、名誉や権威を重んじるアカデミーのあり方が、学生運動世代に受け入れがたいものとして受け止められるのは当然かもしれない。折しも今年はあの5月革命から40周年。会員選びは急ピッチで進むが、アカデミーに新しい風を呼び込むことはできるのだろうか。
(引用終わり)

アカデミー・フランセーズのような「大権威」を取り上げて擁護するのは、果たして適当なのかしらん…と疑問を感じないこともないですが、絶滅寸前希少品種の保護という当blogの趣旨には、ピタリとはまります
それに、アカデミーの浮世離れ、というか時代を超絶しちゃった姿も悪くないです
たとえフランス語が死滅したとしても、勤勉なアカデミー会員のこと、何事もなかったかのように毎週集結して辞書の編纂を続けるに決まってます
さらに、内部事情を打ち明けてしまうと、引用記事は作成するのが非常に楽だという利点もあります(これが一番大きな要因だったりして…)
…というわけで、この記事、NGを免れました

さて、400年近い歴史を持つ団体ですから、会員の数も膨大、通産で700人を超えるそうですが、名前を聞いてもほとんどわからん人ばっかり、中には日本でも有名な人もいますが、逆になんであの人がと思うような人が抜け落ちていたり…
とりあえず、そんな中からうちのblogにも登場した人はいないものかと探してみたら…
けっこういました(笑)

ジャン・ラシーヌ Jean Racine 1672-1699年会員 座席番号13
ヴォルテールことフランソワ=マリー・アルエ François-Marie Arouet dit Voltaire 1746-1778年会員 座席番号33
フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン François-René de Châteaubriand 1811-1848年会員 座席番号19
ヴィクトール・ユーゴー Victor Hugo 1841-1885年会員 座席番号14
プロスペル・メリメ Prosper Mérimée 1844-1870年会員 座席番号25
アルフレッド・ド・ミュッセ Alfred de Musset 1852-1857年会員 座席番号10
ピエール・ロティ Pierre Loti 1891-1923年会員 座席番号13
アナトール・フランス Anatole France 1896-1924年会員 座席番号38
ジャン・コクトー Jean Cocteau 1955-1963年会員 座席番号31
ウジェーヌ・イヨネスコ Eugène Ionesco 1970-1994年会員 座席番号6
ロジェ・カイヨワ Roger Caillois 1971-1978年会員 座席番号3
クロード・レヴィ=ストロース Claude Lévi-Strauss 1973- 会員 座席番号29
マルグリット・ユルスナール Marguerite Yourcenar 1980-1987年 会員 座席番号3
アラン・ロブ=グリエ Alain Robbe-Grillet 2004-2008年 会員 座席番号32

アカデミー・フランセーズの膨大なる全会員リストは、こちらをどうぞ

他に、モバサム「41番目」の人たち、つまり40人という定員に阻まれて会員になれずに終わってしまった悲運の(?)著名人として、
デカルト
パスカル
モリエール
ルソー
プルースト
…なんかがいるそうです

さらに、引用記事にもありましたが、7名もの欠員を埋めるべく、折衝中と噂される人たち

PIC00006.jpg
集英社版 世界の文学 25 ロブ=グリエ/ビュトール
集英社版 世界の文学 26 ソレルス/ル・クレジオ

朝日新聞の記事では全く無視されちゃってますが、順番から行くとまずはこの人
ヌーヴォー・ロマンの残党、ビュトール
PIC00007.jpg
時間割 中公文庫
心変わり 岩波文庫
この人は、ジョイスの影響を強く受けた人です
ただし、「意識の流れ」手法の使い手ではなく、徘徊者=不断の探求者という意味で
2005年、ついに宿願の(?)岩波文庫入りを果たしたということで大満足、アカデミー会員なんてどうでもいいそうです(未確認)

次に、フィリップ・ソレルス
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女たち 上 河出文庫
自ら主催した前衛雑誌「テル・ケル」から実験的な作品を発表し続けました
小説家というよりは、現代思想家といった方がいいのかもしれません
ちなみに、(元)奥さんは、かの有名なジュリア・クリステヴァで、このポスト・モダンの女王様に対して全く頭が上がらなかったという噂です(やはり、未確認)

そして、ル・クレジオ
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海を見たことがなかった少年 モンドほか少年たちの物語 集英社文庫
ロンド 白水社

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調書 新潮・現代世界の文学
すばる 2006年5月号 特集ル・クレジオ「大陸」の終焉
ル・クレジオというと、かなり唐突ですが、私は三国志の姜維を思い出してしまいます(笑)
英雄たちがいなくなった後、人材不足に悩みながらも一人で蜀の国を支えた…
滅亡が差し迫っているのかもしれませんが、彼にはそれを凌ぐだけの極彩色の力量があります
ガンバレ! ル・クレジオ

…というわけで、アカデミーの危機というのは、結局フランス語、フランス文学の危機なんだと思います
インターネットの普及で、ますます英米語の独占状態が進行しつつありますが、それを跳ね返すような「新しい風」も現れて欲しいものです

今日の1曲
The Love Parade 「ラヴ・パレード」/Dream Academy
http://www.youtube.com/watch?v=kLUByJYHLEo&feature=related

The Dream Academy

The Dream Academy

  • アーティスト: The Dream Academy
  • 出版社/メーカー: Wounded Bird
  • 発売日: 2000/03/13
  • メディア: CD




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