シレーヌ [トイ]
虚し、この泡沫、処女なる詩、
ただ 酒盃を示すのみ。
群居る人魚(sirènes)の、眼路はるか、
躍り乱れて 沈み行くごと。
マラルメ「禮」(鈴木信太郎訳)
「ユリシーズとセイレーン」 by ハーバート・ジェイムズ・ドレイパー
海の魔物セイレーンというと、一般には「人魚」と訳されるようですが、上半身女下半身魚の姿のセイレーンは中世以降のもので古代においては下半身は鳥であった、というのはうちの読者ならご存知かと思います
「ユリシーズとセイレーン」 by ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
ボルヘスは、『幻獣辞典』の中で「時の流れゆくうちに、セイレーンの姿は変わってしまった」と嘆いていますが、このイメージの不統一を招いた責任が、セイレーンの存在を初めて紹介した(?)ホメロスにあったことは明らかです
彼は、『オデュッセイア』第十二書で、セイレーンの甘美な歌声、船乗りたちを魅惑し船を難破させる死の歌の調べについて熱心に語ったものの、彼女たちの姿かたちについては一切触れませんでした
まあ、当時の海洋民族ギリシア人にとっては、セイレーンはあまりに馴染みの存在であり、その容姿について説明する必要などなかったのかもしれませんが…
上記の絵2点は、こちらの本からの転載です
水の女 溟き水より フロム・ザ・ディープ・ウォーターズ
なお、表紙もセイレーンです(フレデリック・レイトン「漁師とセイレーン」)
ここで、私自身の好みを言わせていただくと
セイレーンは「魚」でも「鳥」でもなく…
下半身も「人」、「女性」であれば…と思います(笑)
それじゃあ、魔物でもなんでもないだろと突っ込まれるかもしれませんが、とびきりファム・ファタールで魅惑的な存在なら、それだけでもう十分「魔物」です
もちろん、海底に引きずりこまれても、鋭い爪で体を引き裂かれても、文句なんて言いませんから…(たぶん)
例えば、こちらのような…
妖鳥シレーヌ
純白の翼を備えているので、一応鳥です…
ラナ ハッピーコラボレーション キュージョン シレーヌ
(いつもの展開ですが…)オマケで、こんなのも出てきました
バンダイ 永井豪ワールド シレーヌ(原作版)
バンダイ HGシリーズ シレーヌ(劇場版)
バンダイ 永井豪ワールド パールカラーバージョン シレーヌ(原作版)
今日の1曲
Love Is The Drug 「恋はドラッグ」/ Roxy Music
セイレーンは、フランス語ではシレーヌ、そして、英語ではサイレンとなります
http://jp.youtube.com/watch?v=7AvCLJHypDU&feature=related
この地を這うサイレンは…ちょっと遠慮しておきます
サイレン (紙ジャケット仕様)
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