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私はここにいる [ミュージック]




マルタハリス・アレクシーウに続いて、この人も久々の(=21世紀になって初の)日本盤の登場となりました

PIC00002'.JPG
アナ・ヒナ』 ナターシャ・アトラス&ザ・マジーカ・アンサンブル

アラビック・ディーヴァときたら、現役ではナターシャ・アトラスの名が真っ先にあがるかと思います
そんな彼女の存在を世に知らしめたのは、1990年代前半UKのエスニック・トランス・バンド、トランス・グローバル・アンダーグラウンドでの活躍でした(彼女は、ヴォーカル兼ベリー・ダンス!を担当)
その後、満を持してソロとして独立しますが、1995年発表の1stアルバム「DIASPORA」、そして1997年の2nd「HALIM」は日本国内でも発売され、オリエントと西洋との邂逅、伝統音楽とクラブ・ミュージックの融合ということでなかなかの評判となりました
ただし、日本はそれ以降ワールド・ミュージック暗黒時代に突入してしまい、彼女の国内盤も供給がストップ…中東の女王様のクール・ヴォイスが聞けないという寂しい、いや、信じられない状況が続いておりました

しかし、ついに日本復活です
ナターシャにとってはソロ7作目となる新譜『アナ・ヒナ』が、ライス・レコードから日本発売となりました
で、早速(…といっても、夏には出ていたのですが)入手して聞いてみたところ…これが、びっくり仰天
冒頭1曲目、2曲目と昭和日本のムード歌謡のような曲が続きます
解説によると、今回の作品では敢えてエレクトロニックな音は封印し、50~60年代のアラブ歌謡全盛期の楽曲を中心に取り上げたとのこと
特に、アラブの至宝と呼ばれる女王ファイルーズへの敬愛は並々ならぬようで、3曲もカヴァーしただけでなく、歌唱法も真似て、さらに容姿まで…元々黒髪のナターシャがジャケット写真で不自然な金髪を披露しているのは、そんな秘密があったというわけです

アルバムの中から3曲紹介しておきます
今日の1曲目
Ana Hina 「私はここにいる」
http://jp.youtube.com/watch?v=zm8cpmD1o0Q
アラブ歌謡だけで突っ走られちゃうと私も相当めげたのですが、3曲目のこの曲でホッと胸をなでおろしました(笑)
さすがアルバム・タイトル・ソング、心に染みるいい曲です(YouTubeの動画はちょっとエロいですが…)
口ごもったような歌唱で切々と訴えかけてきて、ナターシャってこんなにエモーショナルに歌えたっけ? と感心してしまいました

今日の2曲目
La Vida Callada 「隠された人生」
http://jp.youtube.com/watch?v=kDpJ-SqTsiA
鋭い方ならタイトルで気づいたかもしれません
この曲の主題は、シュールレアリズム画家のフリーダ・カーロ
マジーカ・アンサンブル所属のクララ・サナブラとのデュエットにより、歌で自画像「二人のフリーダ」を再現します

今日の3曲目
He Hesitated 「ためらい」
http://jp.youtube.com/watch?v=yWlGeZJsDbs
これも切々とした名曲です
イラク戦争の兵士は戦場に残った廃墟の中に隠れ潜む家族連れを見つけ、始末するべきか否か…銃を握り締めながらためらいます

『アナ・ヒナ』は、従来のダンシング・クイーンのナターシャ・アトラスを想定して聞くと裏切られる作品です
でも、中身のぎっしり詰まった力作であることは確か
昭和日本のムード歌謡も、やがては麻薬のように効き目を現し…私自身、今年出た新譜の中では一番聞き込んだ作品かもしれません

追加でもう1曲
ああ、でも、やっぱり…
エレクトロニックな方がいい、という方もいるかもしれません
そんな極めて頭の固い方のために追加しておきますね
ナターシャは、この人(小室ではありませんよ)ともコラボしてました
C'Est La Vie 「セラヴィ」/Jean Michel Jarre Featuring Natacha Atlas
↓PV
http://www.youtube.com/watch?v=1AYxiguiLvE
↓ライヴ映像
http://jp.youtube.com/watch?v=BzuXxEl081A&feature=related

jmj.jpg Metamorphoses

ナターシャ・アトラス入門編としてこちらもどうぞ
PIC00024.jpg Best of Natacha Atlas

ところで…
「私はここにいる」というのは、見方によっては、ただのはた迷惑な「自己主張」ソングなんですが
このタイトルを聞いて真っ先に浮かんでくるのは…

http://jp.youtube.com/watch?v=WuNwTO9vSdM
これなんかでは絶対になくて

私なんかは古い人間なので…

http://jp.youtube.com/watch?v=72mG9Ydd72I
こちらなのですが

日本人の「自己主張」を忌み嫌う古き良き美徳が、'Now I'm Here'という原題に「誘惑のロックン・ロール」などという訳のわからん邦題をつけさせた、ということが今となってはよくわかります

誘惑のロックン・ロール.jpg

そうそう
忘れてはいけません
究極の「自己主張」といえば、この方でした
http://jp.youtube.com/watch?v=rhdgqC3Wrig&feature=related
女神転生シリーズの真のラスボスY.H.V.H.(毎度お馴染みのゲームネタですいません)
つまりは、ユダヤ教の(そして、キリスト教の)絶対唯一神、「我ありと言うもの」、造物主ヤハウェ
いくらゲームの中とはいえ、このお方を手にかけてしまってどんなに震えおののいたことか…
(ついでですが…
もし宜しければ、上記のYouTube動画をもう一度見ておいてください
神に対する反逆集団のメンバーが、ルシファー、モロク、ベリアル、アスタロート、そして不動アキラ、牧村ミキというのは壮絶過ぎます)


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コメント 2

sknys

モバサムさん、こんにちは。
Fun-Da-Mental やTrans-Global Undergroundなど
‥‥在英インディアン系の音楽も聴いていましたが、
最近は中近東〜モロッコ方面へ興味が移っちゃった。
でも伝統アラブ歌謡に挑戦したNatacha Atlasの新作は面白そうですね。

○袋WAVE閉店セール(11/1~1/12)が凄いことになっています。
12/28現在、邦楽・洋楽の新譜CDは30%OFF(一部例外あり)ですが、
とんでもない量のCDが¥263で投げ売りに!
‥‥ワールド・コーナーに掘り出し物が眠っています。

ハレドのDVD付き『ヤ・ライ』(ライス ・レコード 2004)を
10分の1の値段でゲットしちゃいました^^;
Natacha Atlasの旧譜CDも¥525で売れ残っていたけれど、
半額(¥263)になった途端にワゴン内から消えました^^

毎日補充されるので、買っても買っても追い着かない。
昨日、男の人が興奮ぎみにケータイで話していた。
「45枚ゲットしたけれど、まだ全然見れていない!」
年明けには¥105になってるかも?
by sknys (2008-12-29 15:42) 

モバサム41

sknysさん、返事遅れてすみません。
なんか、閉店セールを荒らし回ってますね…っていうか、閉店させないために先に定価で買ってあげたらどうですか?(笑)
輸入盤もなるべく避けて、日本盤を買ってあげましょう。
ワールド・ミュージックを第2次暗黒時代に突入させてはいけません。
by モバサム41 (2009-01-01 22:23) 

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