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カリスマ・レコード・アンソロジー 1969-1978 完全版 [ミュージック]




(完全版として再度リリースする記事です)
プログレッシヴ・ロックのコンピとして、新たに出現した(国内盤は2011年2月23日発売)この超強力盤を見逃すわけにはいきません

レーベルのデザインは、もちろん、「不思議の国のアリス」by ジョン・テニエル(ラファエル前派)
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カリスマ・レコード・アンソロジー 1969-1978
Refugees: A Charisma Records Anthology 1968-1978

1968年に設立された名門レーベルの3枚組アンソロジー。
ジェネシス、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター、ザ・ナイスを始めとする70年代のシーンを彩った多数のアーティスト達それぞれの代表曲はもちろん、キース・エマーソンのレア音源やクリス・スクワイアも参加した“レッグス”ラリー・スミスによるプロジェクトのシングル音源なども収録。
まさに個性的なレーベルの魅力を堪能できるブリティッシュ・ロック・ファン必携の作品。

DISC ONE
01. アメリカ / ザ・ナイス
02. ウィッチ・タイ・トゥ / トポ・D・ビル
03. シンパシー / レア・バード
04. レフュジーズ(シングル・ヴァージョン) / ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター
05. レディ・エレノア / リンディスファーン
06. ベッド・エイント・ホワット・イット・ユーズド・トゥ・ビー / ブライアン・デヴィソンズ・エヴリ・ウィッチ・ウェイ
07. カントリー・パイ/ブランデンブルグ・コンチェルト No.6 / ザ・ナイス
08. リ・アウェイクニング / ピーター・ハミル
09. ルッキング・フォー・サムワン / ジェネシス
10. ハイ・プリースト・オブ・メンフィス / ベル+アーク
11. ダウティング・トーマス / ジャクソン・ハイツ
12. ザ・ハウス・オン・ザ・ヒル / オーディエンス
13. スパム・ソング / 空飛ぶモンティ・パイソン
14. ザ・ブラック・ライダーズ・アンド・フライト・トゥ・ザ・フォード / ボ・ハンソン
15. シティ・ソング / リンディスファーン
16. テーマ・ワン / ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター

DISC TWO
01. ハンマーヘッド / レア・バード
02. ジャックドー / オーディエンス
03. パイオニアーズ・オーヴァー・C / ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター
04. グラス・フォー・ブレイズ / ホット・サムズ・オライリー
05. トワイライト・エールハウス / ジェネシス
06. ユナイテッド・ステイツ・オブ・マインド / アラン・ハル
07. ホワイ・キャント・アイ・ビー・サティスファイド / ジャック・ザ・ラッド
08. アイ・アム・アンド・ソー・アー・ユー / キャパビリティ・ブラウン
09. リット・ミックリー / レフュジー
10. ゲイ / クリフォード・T・ウォード
11. フリーダム・ジャズ・ダンス / キース・エマーソン
12. ハートフィーダー / ストリング・ドリヴン・シング
13. イクスカージョン・ウィズ・コンプリケイションズ / ボ・ハンソン
14. ミセス・ニガーバイター / モンティ・パイソン
15. レッド・シフト / ピーター・ハミル

DISC THREE
01. ステッペンウルフ / ホークウインド
02. ネイディアーズ・ビッグ・チャンス / ピーター・ハミル
03. スター・オブ・シリウス / スティーヴ・ハケット
04. アモンティラードの酒樽 / アラン・パーソンズ・プロジェクト
05. スターヴィング・イン・ザ・トロピックス / ストリング・ドリヴン・シング
06. ニュークリア・バーン / ブランドX
07. アロー / ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター
08. アティク・ソーツ / ボ・ハンソン
09. マッチ・オブ・ザ・デイ / ジェネシス
10. PSI パワー / ホークローズ
11. ソルスベリー・ヒル / ピーター・ガブリエル
12. サン・イン・ザ・ナイト / ブランドX
13. ゴッド・ロック / ニック・ターナーズ・スフィンクス

完全生産限定盤
日本盤のみオリジナル紙ジャケット
2009年デジタル・リマスタリング
SHM-CD仕様
特典 1973年発表『Charisma Disturbance』(2枚組サンプラー・アルバム)UK盤LPを復刻した紙ジャケット(内袋付)
…と至れり尽くせりです(笑)
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私達の成功を予想もしていなかった人々に対しては、小さな声で「ヘヘーンだ」と。
カリスマがここまで無事にやり遂げるのを手助けしてくれた全ての人々に、特に素晴らしい働きをしてくれたスタッフに、幸運を。
それにもまして素晴らしかったのは、アーティスト達だ。
このアルバムに収録されているアーティストは、胸の踊るような始まりの総和であり、愛情のこもった歴史の一部である。
いつの日かこの幸運を、一冊の本を著すことで祝うべきだろう。
トニー・ストラットン=スミス(『Charisma Disturbance』のオリジナル・ライナーノートより)

ヴァージン・レコードならリチャード・ブランソン、アイランドならクリス・ブラックウェルですが…
かの有名な(=フェイマス)カリスマ・レーベルは、強力な信念に貫かれたトニー・ストラットン=スミスが統率しました

アルバム志向のため大手レーベルから無視された、「アンダーグラウンド」な、しかし才能あふれるアーティストたちに光を当てよう、とストラットン=スミスは立ち上がりますが、彼は元々はスポーツ・ジャーナリストでちょっと異色の経歴の持ち主です
サッカー・ワールド・カップ・チリ大会の取材でアントニオ・カルロス・ジョビンと出会い、音楽出版に関心を持ち、さらに、自伝のゴースト・ライターを探していた、あのブライアン・エプスタインとの接触をきっかけに、音楽マネージャーに転身
そして、ついには、「アンダーグラウンド」たちに活躍の場を与えようと、インディペンデント・レコード・レーベルを設立してしまいます

ストラットン=スミスの元に結集したアーティスト達の傑作がこのCD3枚組で堪能できますが、その中からさらに選りすぐりを紹介しておくと…

まずは、スウェーデン人のマルチ・ミュージシャン、ボ・ハンソン
彼の曲は3曲収録されていますが、中でもこれ
The Black Riders and Flight to the Ford 「ザ・ブラック・ライダーズ・アンド・フライト・トゥ・ザ・フォード」/ Bo Hansson
http://www.youtube.com/watch?v=zU2_SRCLKbY
トールキンの『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』にインスパイアされて制作した…いわば、架空の映画のテーマ曲
プログレッシヴ・ロックの範疇からは外れるのかもしれませんが、躍動感あふれる名曲です

カーヴド・エアイッツ・ア・ビューティフル・デイや…ヴァイオリニストの在籍するバンドは、独特の雰囲気を持っていますが、ストリング・ドリヴン・シングも怪しい魅力を放ち、十分に個性的
Heartfeeder 「ハートフィーダー」/ String Driven Thing
http://www.youtube.com/watch?v=SrC4lsYCzeI
不気味なクリーチャーを描いたアルバム・ジャケット(by ヒプノシス)も強烈で忘れられません
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新しき生命体 紙ジャケット仕様

アラン・パーソンズ・プロジェクトのこの曲は、紹介済みだったと思います
オリジナル・アルバムの中で埋もれていた曲が、いかなる化学変化を起こしたのか、劇的に蘇ります
The Cask of Amontillado 「アモンティラードの酒樽」/ Alan Parsons Project
http://www.youtube.com/watch?v=RuS2pkzy1Mk&feature=related
この動画を見て、物語の内容がやっと理解できました

重厚長大で観念的(=頭でっかち)なプログレ・ソングばかり耳にしていると、マンネリを感じるのも確かですが、そういうときにはこの曲です
シンガー・ソングライター、クリフォード・T・ウォードの清々しい名曲
Gaye 「ゲイ」/ Clifford T. Ward
http://www.youtube.com/watch?v=iYHDe99cHck&feature=related

プログレの大御所ジェネシスも一時カリスマに在籍しました
ピーター・ガブリエルは1975年にジェネシスから脱退しますが、牧歌的なこのソロ作品に彼の決意表明のようなものを読み取るのは勘ぐり過ぎなんでしょうか
Solsbury Hill 「ソルスベリー・ヒル」/ Peter Gabriel
http://www.youtube.com/watch?v=dLhI__sOLsQ&feature=related

カリスマ・レーベルを代表するアーティストとしては、ジェネシス、ザ・ナイス(ELPの前身)、レア・バード、リンディスファーンなどが挙げられますが、一つに絞るなら、この人たちしか考えられません
奇才ピーター・ハミル率いるヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター(VDGG)
プログレッシヴ・ロックの有名曲は、時代がかったものが多いので、残念ながら今では聞くに堪えない曲も多いのですが、ピーター・ハミルはまるで未来からタイム・マシンに乗ってやって来た使者のよう、あるいは、未来を覗き見ることのできる預言者のようで、彼の残した曲は経年劣化をことごとくはね返します
例えば、この曲
Pioneers Over C 「パイオニアーズ・オーヴァー・C」/ Van Der Graaf Generator
http://www.youtube.com/watch?v=TiZTZaphJe4
彼の自由奔放な展開には、付いて行くのがやっとです
けれども、後から振り返るとやはりこれ以外にあり得ないと妙に納得してしまう
混沌まで内包した神技のような曲です

そして、今日の1曲はこれ
Refugees 「レフュジーズ(シングル・ヴァージョン)」/ Van Der Graaf Generator
http://www.youtube.com/watch?v=Cl6S_Ti6XhY
編集盤のタイトルは、この小曲から取られました
「美しいもの」=「はかないもの」と相場が決まっていますが、この曲にはそんな公式が当てはまらない
色あせることを頑なに拒否しているような内部の意志が感じられます
この曲は、ピーター・ハミルという先見者が見た「美」の進化形態だったのかもしれません

VDGGのこんな編集盤も出て来ました
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アイ・プロフェシー・ディザスター

参考記事
プログ炎上
カリスマ・レコード・アンソロジー 1969-1978 デモ


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コメント 2

sknys

モバサムさん、こんばんは。
Lindisfarneのアルバム(アナログ盤)が
マッドハッターとチェシャ猫のピクチャー・レーベルだった。
どうして、このアルバムを買ったのかは忘却の彼方ですが^^;

チェシャ猫に由来については英動物行動学者の考察が面白い。
歯を剥き出して笑っているネコの顔が描かれていたという
「チェシャチーズ」がチェシャ猫ちゃんの元ネタらしい。

チェシャチーズ・メーカーが笑っているネコを自社製品の商標にしようと考えたのは、「チェシャネコのように笑う」という表現がまったく別の理由ですでに使われていたからであった。それは5世紀ほど前に流行っていた「チェシャ・キャターリングのように笑う」という言い回しの省略形であった。キャターリングはリチャード3世時代の必殺の剣士で、その不気味な笑いで知られた王室御料林の保護官であった。キャターリングはやがて省略されて「キャット」となり、とくに意地の悪い笑いを浮かべる人は「チェシャキャットのように笑う」と言われた。キャロルは恐らくその言葉を知っていたであろうが、笑いが体より後まで残ると述べているところをみると、実際に影響を受けたのは剣士よりもむしろチーズの方だったと思われる。

デズモンド・モリス 「なぜチェシャネコのように にやにや笑うというのか」
by sknys (2012-01-19 01:36) 

モバサム41

sknysさん、コメントありがとうございます。
確か、プログレとは相性悪かったはずですが、リンディスファーンとは意外ですね。
チェシャ猫についての考察ありがとうございます。
一記事分に相当するものなおで、もったいない気がします。
チェシャ猫については、こちらも隠し玉を持っていますので、気長にお待ちください。
by モバサム41 (2012-01-20 21:27) 

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