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知の現在と未来 [イベント]




岩波書店創業百年おめでとうございます
岩波文庫コンプリート宣言をしている手前、目標達成前に本体が消滅してしまってはマズイということで(笑)、応援のため記念シンポジウム(東京)に行ってまいりました
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http://www.iwanami.co.jp/100th/index.html

本当は、2日目(11/23)「資本主義と国家の未来」に参加して、柄谷行人…ではなく、國分功一郎氏(フランスの現代思想家ドゥルーズをネコでもわかるように読み解いてくれるという評判の若き哲学者)の話を聞きたかったのですが、早々に満員御礼、申込終了ということで断念
仕方なく(笑)1日目(11/22)「大学、出版、知の未来」の方に参加してきました
パネリストの高橋源一郎氏が「平均年齢が異常に高い」と叫んだ通りの聴衆が会場を占め(入りは7割くらい)、岩波書店の将来展望については危機感ストップ高な空気の中、固い化石のような話ばかりで退屈するかなという予想に反して盛り上がり、なかなか楽しめました
まず、基調講演は、広井良典氏の「ポスト成長または人口減少時代における科学と知」
人類史を3つのサイクルに区分し総括、果たして人類に4番目の拡大・成長はあるのか?という壮大なテーマのお話でした
で、あと数年もすれば姿を消してしまうかもしれない聴衆の年齢を考え、そんな悠長な話はご法度、空気読めよ、とも言いたくなった訳ですが、そこで広井さんが用意したのが、手塚治虫の『火の鳥』
過去、未来を自由に飛び回り再生する火の鳥にあやかり、過去の名もなき人々や未来のまだ見ぬ世代へとつながる(今風の言葉を使うと「関係性」を持つ)ことで、それが出口なし状況の突破にもなり得る…というオチだったと解釈しています

後半は、パネル討論
広井さんに、高橋さん、管啓次郎氏、長谷川一氏の3人が加わりました
度肝を抜かれたのは管さん
理工学部教授兼詩人だそうで、自ら「詩人」と名乗る不遜な人物に初めて遭遇しましたが、さすがに一つ一つの言葉が力強い
「ヘテロトピア」、「ヘテロクロニア」、「セノポイエイセス」など魔術的な言葉を駆使し、聴衆を煙に巻き(笑)、プレゼン力…いや、パフォーマンス力抜群でした
ここで唐突に(笑)『北斗の拳』に例えてしまうと、管さんが世紀末覇者で拳王ラオウ、一方ラオウの攻撃を飄々とかわした北斗四兄弟の次兄トキ…いや、南斗五車星、風のジュウザがインテリ源ちゃん=高橋さん
いつの間にやら明治学院大学国際学部(!)の教授になったというのも驚きでしたが、討論では豊富なネタを披露、「大学、出版、知の未来」という崇高なテーマの下、まさかあれだけ笑いが取れるとは思ってもいませんでした
長谷川さんは、ちょっと異色のメディア論専攻ということで、今後の展開、話の膨らませ方が楽しみです
「ここではないどこか」に思いを馳せるという言葉は、管さんの「今あるものとは別の何か」に通じ、また、広井さんの「火の鳥」ネタとも交差し、印象に残りました

今日の1冊
数十年ぶりに本棚から取り出してきました
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さようなら、ギャングたち 講談社文芸文庫
デジタルでポップでキッチュな作品でしたが、今や「講談社文庫」ではなく、「講談社文芸文庫」というのも驚きです

今日の1曲
Damaged Goods 「ダメージド・グッズ」/ Gang Of Four
http://www.youtube.com/watch?v=zVSyphFVVlc
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エンターテイメント


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コメント 2

sknys

モバサムさん、こんばんは。
Gang Of Fourのデビュー・アルバムはソリッドで荒削り、
ストイックでカッコ良いですよね。
軟弱化したこともあったけれど、今でもしぶとく生き残っています。
最近のインテリ源ちゃんは金井美恵子にボコボコにされていますが、
『さようなら、ギャングたち』は傑作だった。

「この戦後派のセヴンティーンの右翼の──今どきの言葉では落ちこぼれの──少年[なぜか言語センスに驚異的に秀れた]を語り手にした、大江健三郎の華麗でグロテスクな比喩とユーモアが炸裂する饒舌体の小説は、ポピュラー・ソング、詩、和歌、新聞や雑誌に載った実在の知識人や右翼や主婦や学生の言説の引用によって書かれた当時の日本の文学的状況の中で世界的文学水準に達した希有の作品と呼ばれるべき強度を持っている」
毒舌の金井おばさんにしては珍しく「セヴンティーン」を褒めています^^
by sknys (2013-12-10 00:05) 

モバサム41

Sknysさん、コメントありがとうございます。
「セヴンティーン」は、エイドリアン・ガーヴィッツです

by モバサム41 (2013-12-15 22:05) 

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