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小林ドンゲ [アート]




すでに紹介済みですが、岩崎美術社「エドガー・A・ポウと世紀末のイラストレーション」に収められていたこの人の作品は、印象に残るものでした
クラークやビアズリー、ラッカムの作品にも負けていなかった…

「モレラ」
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「楕円形の肖像」
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彼女(女性だとは知らなかった…不覚です)の銅版画に、今回初めて接することができました

佐倉・房総ゆかりの作家たち
―版画作品を中心として
2008年4月5日(土)→6月1日(日) 佐倉市立美術館
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図は、「女と猫」1975年

1927年東京生まれの小林ドンゲは、美大を卒業後、堀口大學と木村荘八に師事、銅版画については関野準一郎と駒井哲郎に教えを受けたそうです
堀口大學からは、「夕の虹」など主要な詩集の挿画装丁を任されます
女流銅版画家の第一人者である彼女の駆使する技法は、エングレーヴィング
西洋発祥の銅版画技法の中でも最も古典的なものの一つで、「銅版という硬質な素材をビュラン(エングレーヴィング専用の道具)の鋭利な刃で、引き裂き、傷つけ、また、ウドンゲの糸の如く細い線を幾重にもつれ合わせて不思議な明暗をつくり出す」表現法だそうです

出品作品をいくつか紹介しておくと…

銅版画集『雨月物語』(1970年)より
「蛇性の淫」
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彼女は清姫か、それともイヴかメドゥサか…

銅版画集『ポーに捧ぐ』(1972年)より
「ヴァンパイア」
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これは、クリムトの「接吻」?
彼女の描く(刻む?)絵は、なぜだか既視感に溢れています

「エレオノーラ」
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これなんか、手塚治虫のアニメラマ(千夜一夜物語とかクレオパトラとか)との親近性を感じてしまう…のは私だけ?

それから…
この人にも、きっと影響を与えています
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さすがに、お子様向けに毒々しさは消してありますが、この切れ長の目に長いまつげは…

でも、気をつけてくださいね
彼女の銅版画に対して漫画チックで平板な印象を受けるとしたら、それは早合点というもの
実物は、(硬い素材のせいなのか)中身がぎゅっと詰まった感じで、意外なほど肉感的
したがって、ポー作品に登場する青ざめた表情の女主人公たちとは、はっきり言ってミス・マッチ(その微妙なズレがおもしろいという意見もあるでしょうが…)

やはり、ファム・ファタールな小娘、サロメこそ、小林ドンゲにはふさわしい

銅版画集『火の処女 サロメ』(1976年)より
「炎上」
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褒美の品は…

「恋」
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ついに、彼女の恋は成就します

そして…

1993年の作品
「夜の踊り子」
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ますます妖艶に変化した彼女は、花獣ビオランテ?

今日の1曲
「7つのヴェールの踊り」 Salome 「サロメ」より/Richard Strauß
http://www.youtube.com/watch?v=KumJoLLJUew
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世紀末の夢 ~ウィーン、パリ、モスクワ~

ドンゲ以外の作家も紹介しておきます
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房総ゆかりの、多賀新(春陽堂の江戸川乱歩文庫の表紙で有名です)
そして、浜口陽三、池田満寿夫、清原啓子

最後に、おまけで…

「ドンゲ頌」 堀口大學

ドンゲ うどんげ 優曇華の花
ドンゲ うどんげ 魂の声
ドンゲ うどんげ 命の叫び
ドンゲ うどんげ 上田秋成
ドンゲ うどんげ 雨月物語
ドンゲ うどんげ アラン・ポー
ドンゲ うどんげ アッシャー家
ドンゲ うどんげ 赤い月
ドンゲ うどんげ 月かげの虹
ドンゲ うどんげ 優曇華の花


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