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らいてう [ヒストリー]




生田長江先生
雑誌名は――そうだな
『青鞜』というのはどうでしょう?

平塚明(はる)
『青鞜』?

生田先生
青鞜というのはブルー・ストッキングの和訳
青い靴下という意味です
欧米ですら女性が文学に携わることが許されなかった100年以上昔のイギリスに
男性に交じって芸術や文学を論じた進歩的な女性たちがいたんですよ
彼女たちがはいていたのは青い靴下
そこで男たちは女だてらに文学趣味を持つ女性を小ばかにして
「ブルー・ストッキング」と呼んだそうです
西洋でも古い因習を断ち切って自分らしく生きようとする女性たちは
あざけりとさげずみから逃れられなかった
あなたたちも
いずれは同じように冷笑にさらされるはずです
だったら先に自ら「ブルー・ストッキング」と名乗りをあげ
批判にも真っ向から立ち向かっていけばいい
つまり『青鞜』の名前は
世間への宣戦布告ってわけです

明(はる)
宣戦布告……

haru.jpg

あまりに安易な気もしますが…
今回もお子ちゃま向けの学習用マンガ雑誌にたよります

「新しい女」たち その1
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週刊マンガ日本史44 平塚らいてう 学研

らいてう(明)
これがわたしの
世間への宣戦布告……!

元始、女性は実に太陽であった
真正の人であった
今、女性は月である
他に依って生き、他の光によって輝く病人のやうな蒼白い顔の月である
私共は隠されて仕舞った
我が太陽を今や取戻さねばならぬ

「新しい女」たち その2
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『青鞜』創刊号の表紙は、らいてうの女子大時代のテニス仲間で、のちに洋画家となった長沼智恵子が描きました
高村光太郎の詩集『智恵子抄』の「智恵子」、「東京に空が無い」と言ったあの人です(いやあ、学習雑誌はためになるなあ)

さて…
「出番が少ないぞ」との悲痛な訴えが出たので、うちのblogの準レギュラーたちの再登場を粛々と行ってきましたが…
オルガン」→サン・ジュスト
魔剣よ!円卓の騎士よ!」→ビアズリー
トロイ無双」→トロイの勇者たち
不和の林檎」→バッドフィンガー
Numb」→四谷シモン人形
The Doors of Perception 知覚の扉」→ジム・モリスン(ドアーズ)
BRAVE10」→真田十勇士

で、今回は誰の番かというと…
平塚らいてうではなく
長沼(高村)智恵子でもなく

「新しい女」たち その3
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らいてうの後を継ぎ『青鞜』の2代目編集長となった伊藤野枝…
の旦那であった、アナーキストの大杉栄です
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『大杉栄評論集』 岩波文庫
大杉栄は徹底した個人主義者で社会主義者で無政府主義者で…とにかく、日本人にしては珍しくスケールのでかい人です

そんな大杉の元に、野枝は、夫でダダイストの辻潤と2人の幼子、そして仕事(『青鞜』の編集長)さえも投げ捨てて、奔ります
そして、大杉の内縁の妻、愛人とのどろどろの四角関係を見事に(?)勝ち抜きますが…
束の間の平穏の後、1923年9月、関東大震災発生の混乱の中、憲兵大尉甘粕正彦(=坂本龍一)に大杉ともども連行され、撲殺されてしまいます

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吹けよ あれよ 風よ あらしよ 伊藤野枝選集

今日の1曲
One of These Days 「吹けよ風、呼べよ嵐」/ Pink Floyd
http://www.youtube.com/watch?v=xMEbrGye-lc&feature=related
『おせっかい』は持っていないので、こちら
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エコーズ~啓示 ザ・ベスト・オブ・ピンク・フロイド

さて、ここでThunderbirdらいてうに話を戻して…
平塚明(はる)は、22歳のとき(『青鞜』創刊の3年前)にある小説家のたまごと関係を持ち、心中未遂事件を引き起こします(塩原事件)
たまご(=森田草平)は、夏目漱石の援助を受けてこの一大スキャンダルの顛末を小説にまとめて発表します
『煤煙』 岩波文庫
ms.jpg
らいてうは、この小説の内容については一切弁解しなかったそうです
それに比べて、漱石先生は情けない
いくら弟子を一人前にするためとはいえ…

なお、らいてうの志を伝える記念館「らいてうの家」は、信州上田にあるそうです


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コメント 6

華龍

真っ昼間のコメントっす。゛(6 ̄  ̄)ポリポリ
(免許更新するのに1日有給取って昼間からブログ徘徊しとります)
大杉栄ねぇ、どちらかというと甘粕大尉の方が興味あるんですよね。帝国陸軍→満洲→甘粕って感じで。甘粕大尉の本を読んだら大杉栄の方も読んでみようかしら。
甘粕って本当は大杉栄を殺していないって説もありますよね。本当はどうだったのかな?
この時代の○○主義者って言われてる人って強烈そうで中々読む勇気なかったんですが、横道から読み始めて慣らしてからなら読めるかなぁ。
伊藤野枝も強そうだもんなぁ。
by 華龍 (2011-05-17 10:30) 

モバサム41

華龍さん、コメントありがとうございます。
昭和陸軍関係は、華龍さんの大得意ジャンルでしたね。
でも、そもそものきっかけは、ラスエン甘粕役の坂本龍一ですよね(笑)
「甘粕大尉の真実」というテーマでブログ記事を期待しています。

by モバサム41 (2011-05-17 23:38) 

華龍

バレバレですね。甘粕大尉を知ったきっかけは坂本龍一です。( ̄∇ ̄*)ゞ
再読している平家物語を読み終わったら甘粕正彦についての本を読もうと数ヶ月前から物色してたところだったんですよ。
ラストエンペラーでは性悪そうに見えたんですが、満洲に移民した人達にとってはすごくいい人だったって言われてるし、興味アリアリです。
ま、映画では隻腕に設定されていたぐらいなんで、真実とは違うのはわかっていたんですけど。
『大杉栄評論集』 と『煤煙』 も読んでみたくなりました。
読みたい本リストに追加です。

by 華龍 (2011-05-18 00:49) 

モバサム41

はい、しっかりばれてました(笑)
『煤煙』は、ムフフな場面は皆無なので、期待して読むと裏切られます。
漱石先生の、検閲が入ったのかもしれません。
『大杉栄評論集』は…まだ中身読んでません。
by モバサム41 (2011-05-19 01:49) 

sknys

モバサムさん、こんばんは。
《Hippopotamomus》(Creation 1991)は仏ミシュランからの抗議で、
アルバム・カバ(河馬)の差し替えを余儀なくされただけでなく、
〈Michelin Man〉も削除されてしまった。
Zombiesの名曲をパクった〈Bluestocking〉には、
バタイユ『眼球譚』、サド、マゾッホ、D.H. ロレンス、三島由紀夫など
‥‥お気に入りの作家や著作が列挙されます。

三島賞落選の『アナーキー・イン・ザ・JP』は無視?
by sknys (2011-05-19 23:02) 

モバサム41

sknysさん、情報ありがとうございます。
今日の1曲は、最初『青鞜』がらみで探したんですが、意外になかったんで、ピンク・フロイドとなりました。
プログレは場違いかとも思いましたが、らいてうや野枝のパッション=「雷光」をうまく表わせたと思います。
『アナーキー・イン・ザ・JP』は…無視です。
by モバサム41 (2011-05-22 17:54) 

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